ジャガイモ品種

「スタークイーン」(農林40号)(根育31号)

野暮ったいイモ臭さが少ない。
現代風の洗練された味。
デンプンは男爵薯よりタップリ含まれているので、ホクホク感が強くコロッケやポテトサラダに最適

(1)来 歴
 ジャガイモシストセンチュウ及びそうか病抵抗性を有する加工食品用品種の育成を目標に、昭和63年に北海道立根釧農業試験場馬鈴しょ科(現北見農試研究部馬鈴しょ科)において、「Atlantic」を母、「Cherokee」を父として人工交配して得られた真正種子から育成されたものです。母親は、アメリカ合衆国で育成され、平成4年に「アトランチック」の名で北海道の奨励品種にも採用された、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性でそうか病に比較的強い加工食品用品種です。父親もアメリカ合衆国で育成されたそうか病に抵抗性のある品種です。
 平成7年に「根育31号」の地方番号をつけて、奨励品種決定調査に供試し、平成8年から現地において奨励品種決定調査等に供試して調理用品種としての実用性を検討してきました。平成11年に北海道の奨励品種となりました。2007年優良品種から削除された。
(2)地上部特性
 そう性は“中間型”です。初期生育は「男爵薯」よりやや遅い。幼芽の色は淡赤で、茎の長さ中、茎色は緑に赤紫色が斑紋状に分布します。分枝数は「男爵薯」より多く「農林1号」並の“中”です。頂小葉及び小葉の形は「男爵薯」より細く「農林1号」並で、大きさは「男爵薯」より小さく「農林1号」並です。
 花の数は「男爵薯」及び「農林1号」より少ない。花の大きさは中で、花の色はごく淡い赤紫系で、両面の先は白い。花粉は「男爵薯」よりやや多い程度で、結果は稀に見られます。
 枯凋期は「男爵薯」より遅く「農林1号」よりやや早い。
(3)地下部特性
 ふく枝は短く、いも着生の深浅は「農林1号」より浅く「男爵薯」並で浅い。
 いもの形は偏球形で、皮色白黄です。表皮の粗滑は「男爵薯」より粗で、ネットは微です。目の深さは「農林1号」より浅い。肉色は黄白です。
 休眠期間は「男爵薯」より短く「農林1号」並の“やや短”に属する。
 いもの早期肥大性は「男爵薯」並。上いも重及ぴ中以上のいも重は「男爵薯」より多く「農林1号」より少ない。上いも数は「男爵薯」より少ない。上いも平均一個重は「男爵薯」より大きく「農林1号」より小さい。上いもの粒揃いは「男爵薯」より揃いが良く「農林1号」並です。
 てん粉価は「男爵薯」より高く、「農林1号」より低い。褐色心腐は「男爵薯」並の微発生で、中心空洞の発生は「男爵薯」より少ない。二次生長は「男爵薯」より多いが“やや少”です。
 葉巻病抵抗性は「男爵薯」及ぴ「農林1号」並の弱、Yモザイク病抵抗性は「男爵薯」並の弱です。モザイクから次第に葉裏に顕著なえそストリークを示す(最下の2枚参照)。疫病圃場抵抗性及び疫病による塊茎腐敗抵抗性は「男爵薯」並の“弱”に属します。
 そうか病抵抗性は「男爵薯」及び「農林1号」より強い“やや強”です。粉状そうか病抵抗性は「男爵薯」より強く、「農林1号」並の“やや強”です。
 ジャガイモシストセンチュウに抵抗性です。
(4)調理加工特性
 調理・加工特性調理後の肉質は「男爵薯」並の“やや粉”、調理後黒変の程度も「男爵薯」並の少です。煮くずれの程度は「男爵薯」より多い。舌ざわりは「男爵薯」及び「農林1号」並です。チップ・フライの褐変程度は「男爵薯」及び「農林1号」より少ない“微”です。食味は中の上で、用途は調理用です。
(5)栽培上の注意
 そうか病発病いも率15%以下を目標とした場合、「男爵薯」の発病いも率が30%以下の圃場に栽培しなければなりません。健全株でもウイルス病によるモザイク症状に似た退緑斑紋が発生することがあるので、原採種栽培では抜き取りにあたり注意が必要です。二次生長が発生しやすいので、培土、収穫時期などに留意します。亀の甲病や亀の甲病類似症状が発生することがあります。


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左図:左「スタークイーン」、右「男爵薯」(写真提供道立北見農試)
右図:そうか病汚染畑から収穫した「スタークイーン」と「男爵薯」
↑健全株のれん葉類似症状。↓Yモザイク病2枚

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