春をとどける暖地向き品種春あかり

(1)来 歴
 長崎県総合農試愛野馬鈴薯支場において、そうか病に強い「T8973-20」を母、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性で塊茎の早期肥大性および食味に優れる「普賢丸」を父として交配し、以後選抜を加え、平成14年(2002)9月に「ばれいしょ農林43号」として命名登録され、「春あかり」と命名されました。
命名の由来は、西南暖地から全国へ「春」を届ける「新じゃが」と塊茎のやわらかな光沢のイメージ、また、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種につけることが多い「あかり」をつけたもの。

(2)地上部特性
 草型は春は直〜やや直立、秋はやや開です。草勢は「デジマ」よりやや弱い。
 出芽は春作では「デジマ」よりやや早く、秋作ではほぼ「デジマ」並です。初期生育は春・秋作とも「デジマ」より早く、枯凋期は「デジマ」より早い中早生です。
 茎長は「デジマ」より短く、春作では「ニシユタカ」よりも短く、秋作では「ニシユタカ」並に短い。茎数は春作では「デジマ」よりやや多く、秋作では少ない。茎の太さは「デジマ」並かやや細い。葉色は春作では「デジマ」より薄いやや淡緑、秋作では「デジマ」並かやや薄い緑〜やや淡緑に属します。
  花は春作では稀にみられ、花色は白です。塊茎の着きは「デジマ」よりやや密です。

(3)地下部特性
 塊茎の肥大開始期は、「ニシユタカ」よりやや早い。上いも数は「デジマ」よりも多いが、一個重は軽い個数型です。上いも収量は春作普通栽培では「デジマ」より多いが、春作マルチ栽培と秋作普通栽培ではやや劣ります。
 いもの形は春作では「デジマ」の扁球に対して短楕円、秋作では短楕円〜扁球です。皮色は白黄、目の深浅は「デジマ」より浅い浅、滑皮で、二次生長、裂開はほとんどなく外観は良好です。 肉色は「デジマ」より黄色味が強めの黄白〜淡黄です。食味は「デジマ」なみ。
肉質は中〜やや粉質で煮くずれは微、剥皮褐変は無、調理後黒変は無です。澱粉価は春・秋作とも「デジマ」より低い。
 休眠期間は九州の春作ではほぼ「デジマ」並、秋作では「デジマ」より7日程度短い。  疫病や青枯病には「ニシユタカ」より弱く。「デジマ」なみ。ジャガイモシストセンチュウに抵抗性があり、そうか病にもやや強い。

(4)栽培上の注意
栽培適地は二期作が可能な温暖地であり、鹿児島県での栽培が考えられています。 個数型で一個重がやや小さいので、密植を避け、繁茂量の確保・維持に努め、いもの肥大を促すといい。
青枯病や疫病には弱いので、健全な種いもの使用と生育に合わせた適期防除を実施する。


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