レジスタントスターチ

***大腸ガンの発生を少なくするRS***

1.レジスタントスターチ(酵素抵抗性澱粉)とは
 従来、摂取した各種澱粉は小腸で完全に消化されるものと考えられてきましたので、澱粉は単にエネルギー源としてのみ評価されてきていました。しかし1980年代入ってからEnglystらが、一部は消化されずに下部消化器官に流れ込むことをつきとめ、レジスタントスターチ(resistant starch:RS)と名付けました。
 その後食品には種々のタイプのRSが存在することが明かにされ、現在RSとは、「健常人の小腸管腔内において消化吸収されることのない澱粉および澱粉の部分水解物の総称」と定義されています(1991年)。
各種澱粉の加熱調理後のRS含量は、ジャガイモでは約10%です。また、高アミロースコーンスターチでは高く20%を超えており、逆に低アミロースコーンスターチ、グリーンバナナ、小麦澱粉では5%以下と少ない。
2.大腸ガンの発生率少なくするレジスタントスターチ
 日本人の死因の中で、ガンが脳血管疾患を抜いてトップになって10数年経過しました。その原因の3分の1は喫煙であり、あまり気にしないで食べている物に起因するものも大きい。
ガン発生にプラスになるものに食塩の過剰摂取、エネルギーの摂りすぎ(特にアメリカで)、特に脂肪分の摂取過剰などがあげられ、逆にガン予防の可能性あるものとして野菜(ジャガイモを含む)、果物などがあげられ、この中の食物繊維、抗酸化ビタミン、カロテノイド類、グルタチオン、りん脂質、硫黄化合物、フェノール類が注目されています。
 大腸ガンに絞ってその発生率をみますと、これまでは脂肪、蛋白質摂取量の多い地域で高く、逆に食物繊維摂取量の多い地域では低いと考えられていましたが、最近Gassidyらの世界各地の食事様式の調査結果によりますと、大腸ガン発生率と負の相関を示したのは(−0.76,p<0.01)、食物繊維ではなく、澱粉摂取量(おそらくRS摂取量)であったそうです。

 付 各澱粉のアミロース含有量(%)
ばれいしょ澱粉    21
 小麦澱粉       22
 タピオカ澱粉     17
 ハイアミロースコンス 47 HACS H5
  同         67 HACS H7
 注 ブロスキー法による (三和澱粉工業 蔵橋)
 同社では澱粉を湿熱処理することによりRS(食物繊維)を増やすことを試みていまする。

ジャガイモでんぷん分子。アミロース・チェーンとアミロペクチンからできている。糊化すると各ほうきのようなところが広がっていきます。Lineback,D.R.(1984)より。
貯蔵澱粉の合成と蓄積はプラスチドの一種であるアミロプラストの内で行われています。
ジャガイモのプラスチドでは膜包体(membrane-bound inclusion body)が観察されますが、これにはタンパク質の外核酸や酵素も含んでいると推定されています。

*用語からの検索へ行く*
スタート画面へ戻る