ジャガイモ品種

「ノースチップ」(P961)

(1)来 歴
 昭和63年、ホクレン農業総合研究所で加工用品種の育成を目的として、「ホッカイコガネ」に「ND860−2」を交配し、選抜を加え、平成8年から「P961」の名で、道内各農業試験場において、生産力、特性検定試験、現地試験などに供試してきた結果、チップス適性などで優れていることが認められ、平成11年北海道の奨励品種に決まったものです。
(2)地上部特性
 萌芽明けは「トヨシロ」よりやや早い。しかし初期生育は「トヨシロ」並で、遅い。枯凋期は「トヨシロ」並ないしやや遅い中生に属します。
 草型は中間型で良い。茎長は「トヨシロ」並。茎の太さは中で、分枝は少ない。茎は緑で赤紫の斑点を帯びています。茎翼は直です。葉色は緑で、小葉の幅はやや広く、大きは中です。花色は赤紫で先は白い。花数は中で、花粉量も中。自然結果は少し見られます。
 「トヨシロ」同様にR1遺伝子を持っていますが、疫病には普通品種並にかかります。塊茎腐敗抵抗性は「トヨシロ」より強く、やや強です。
 ウイルス病としては、これまでに黄色の濃淡のモザイク、れん葉症状が出ることが知られています。
(3)地下部特性
 塊茎の形は球で、揃いはよい。塊茎の着生は密で、ふく枝はやや短い。
 目は浅く。数は中、外観はよい。皮色は黄褐で、表皮はやや粗です。肉色は白です。
 上いも量は「トヨシロ」並です。サイズ中以上いも重は「トヨシロ」並ないし劣ります。「トヨシロ」に比べて上いる数は多く、上いる平均一個重は小さい。つまり、M、Lは多いが、2L以上では「トヨシロ」より少ない。塊茎の肥大速度「トヨシロ」に比べて遅く、8月の加工原料塊茎の割合は「トヨシロ」より少ない。
 軟腐病には「トヨシロ」並にかかる。
 澱粉価はほぼ「トヨシロ」程度です。
(4)加工適性および食味
 調理後の肉質く中で、煮崩れ程度は少です。舌触りはやや滑らかです。調理後黒変は微で、剥皮褐変は少ない。塊茎の褐色心腐の発生は「トヨシロ」より明らかに少なく、中心空洞も2Lにごく僅かに見られる程度であり、ほとんど発生しない。二次成長は「トヨシロ」と同程度に少ない。
 難糖化性に優れ、チップスカラーは「トヨシロ」に比べ良好に推移します。
 食味は「トヨシロ」並の中です。
(5)栽培上の注意
 一個重が小さいので、やや粗植栽培することが望ましい。
 塊茎の肥大が遅いので、生育後期まで十分生育するような肥培管理を行います。
 地域によって、肥大の劣るところがあるので、導入前の適応性の検討が望ましい。
 線虫抵抗性はない(h)。(写真提供:ホクレン農総研)


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左図「P961」の塊茎。右図は6℃貯蔵後のカラー「トヨシロ」(左)と本品種(右)

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