暖地向き赤皮品種アイノアカ(農林35号)

(1)来 歴
 長崎縣総合農林試愛野馬鈴薯支場で、暖地で良食味の「デジマ」を母、アメリカの「ノーランド(Norland)」を父として交配し、平成3年から「西海23号」の地方番号を付して各種の試験を実施して検討を加え、平成6年農林登録したものです(ばれいしょ農林35号)。
 名称は、育成地の愛野にちなみ、皮色が淡赤(アカ)で、外観が愛らしいことを表わしています。
(2)地上部特性
 茎長は「ニシユタカ」よりも短い。長崎での出芽期は「ニシユタカ」並〜やや早い。茎数、茎の太さは中、茎には「農林1号」のように紫の着色が分布します。頂小葉の大きさは「ニシユタカ」よりやや大きめです。地上部の繁茂量は「農林1号」より少ない。
 花の色は淡赤紫で、数はやや多く、自然結果がみられます。
 茎葉黄変期は「農林1号」より早い。
 圃場でのウイルス感染率は低いほうです。
(3)地下部特性
塊茎の形は「紅丸」に似た楕円(卵形)、皮の色は淡赤で目が赤いので区別しやすい。
一個重は「ニシユタカ」より軽く、単収も劣る。でん粉価は「デジマ」、「農林1号」より低い。肉質が柔らかく、味が沁みやすく、煮物に向きます。目は浅く、外観は「デジマ」より優れています。蒸煮の肉質は「デジマ」並のやや粉〜中、肉色は淡黄、食味は「デジマ」並でよい。
還元糖は「デジマ」より低く、ビタミンCは多い。
 いもの裂開やこぶ型などの二次生長の発生は「デジマ」より少なく、「ニシユタカ」並です。
 肌荒れは「ニシユタカ」より少なく、「農林1号」並、塊茎腐敗にはやや強く、「デジマ」や「農林1号」より強い。粒揃いは良い。いも着はやや疎ですが、掘取りは容易です。
 そうか病抵抗性は「ニシユタカ」より強い。粉状そうか病には、「ニシユタカ」より強い。疫病には「ニシユタカ」並で、弱い。暖地に発生する青枯病には「ニシユタカ」より強く、やや強です。塊茎腐敗も「デジマ」より少ない。
(4)栽培上の注意
栽培適期の短い暖地で春と秋の二期作が可能です。「ニシユタカ」より小さいので、生産目的に合わせて、種いもの切断方法、催芽期の期間、株間などの調節をし、適切な単位面積当り茎数の確保に努めるとよい。
早生型で根量が少ないので、完熟堆肥の施用に努めるなど圃場の生産性に努めるようにします。
 暖地の秋作では、休眠が十分明けた種いもを用いて初期生育を確保することにより多収をはかり、また春作では比較的若齢の種いもを使い、10a当たり5,000株程度の疎植にするとL規格の比率を高めることができます。


左:「アイノアカ」の花(淡赤紫色)*。 中:「アイノアカ」*。右「同」
*写真など、長崎県総合農林試験場資料によるところが多い

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