ポテトエッセイ第4話
ハロウイーン時期が近くなりますとジャンボカボチャのコンクールが各地で開催されます。ジャガイモではそのような大会は少ないのですが、予想外の大きなジャガイモを見つけると、胸がときめくことでしょう。ひょっとしてこれは日本一ではないかと思うのか、新聞社や農業試験場に問い合わせがきます。そのお答えとしての目安を書いておきましょう。
世界一重いポテトは、カルビー・ポテトチップスのビッグ・バッグ(発売一九九〇年)の袋裏面によりますと、1795年2月17日イギリスはチェスターのトマス・シーダーさんが掘り起こした8.275kgになっています。普段食べているジャガイモの約80倍もあるものです。
意識的に超大のイモを畑で穫ってみようとしても、簡単にはいかないものです。出てくる茎数を一本にしぼり地力のあるところにたっぷり肥料をやって植えて、生育期間を長くし、途中葉が疫病でやられなくしても、せいぜい数百グラムどまりに終わることが多いものです。
私の知っているわが国での記録としては、1個の重さが1.4kgのもので、昭和52年秋網走市の立石重義さんの畑で生産されたものです。品種は『紅丸』という晩生のものでした。早生の『ワセシロ』の例では平成3年道南の七飯町の農業野沢太郎さん(当時58)がとったものです。直径20cm以上、重さ1.18kgでした。それを報じた新聞の写真では人の顔より大きく見えました。
珍しいものとしては、コブだらけのイモで、目(くぼみ)の数が30以上、芽の数100以上のものを見ました。また、5つのイモがストロンで鎖状につらなったのも見たことがあります。それを目で確かめたい方は雑誌『遺伝』1976年(昭和51年)年10月号79頁に、私が写真をのせてありますので、学校の図書館あたりで見て下さい。