ポテトエッセイ第33話

クレケリ【ジャガイモ博物館】
 ロシヤなどで知られているジャガイモ加工品です。ジャガイモを蒸気で蒸して、マッシュとし、塩1%分の外、いろいろな添加物、たとえばトマトジュース、トウガラシなど、を加え、スロットから圧力をかけて搾りだし、うすいフイルムとします。これを乾燥硬化させたものが売られています。成型チップスに近いものです。
 消費者はこれを油で揚げて使います。揚げると、数秒で10倍ぐらい大きくなります。
 これに使うジャガイモ品種は、でん粉質で、先に述べた水煮後黒変がなく、貯蔵性があり、甘味(還元糖)の少ないものが適します。 旧ソ連邦のジャガイモ生産量は多く、世界の3割近くを占めます。このため、毎食と言ってよいほどジャガイモ料理をたべます。第2のパンと呼んで、ボルシチ、ピューレ(マッシュ)、焼きイモ(ペチョーヌイ)、肉と一緒にクリームで煮たトショーヌイなどで出てきます。
 ロシヤのジャガイモ好きを皮肉ったスイスのジョークに次のようなのがあります。 あるスイス人が、時計の売り込みのため、ロシヤに出かけました。どこに行っても、必ず食卓にジャガイモ料理が並んでいました。モスクワのレストランでも皿に山盛りのピューレを眼前にし、ついにフォークをつける気を無くしました。
 シェフの「私の料理が食べられない、とでも言うのかね」の言葉に、心の優しいセールスマンが答えました。
 「とんでもない、わが国民だって、大好ですよ」
 「それじゃひとつ、スイスのジャガイモ料理を教えてくれませんか」
 「まったく簡単なことですよ。まず、ジャガイモを豚にやります。それから豚を食べるのです」

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