ジャガイモ品種「エニワ」(ENIWA)

(1)来 歴
昭和28年に北海道農試で、「島系267号」に「島系232号」を交配し、昭和36年に奨励品種になりました。2023年北海道の優良品種から削除されました。品種名は育成地島松に近い恵庭(現在は島松は恵庭市)からとっています。
  地方番号「北海22号」、登録番号は「農林12号」です。澱粉原料用として、主として十勝地方でつくられていますが、食用として「マリモ」の名で販売しいいる例もみられます。
(2)地上部特性
草姿は直で、茎長は「紅丸」より低いがよく繁茂します。茎は太くなく、その数は少ないが、分枝の発生はやや多い。茎に着色がなく、茎翼は直で、葉色は中ないしやや濃い。小葉の大きさはやや小で、着生はやや疎です。花は白色で、数は「農林1号」より少なく、自然結果がみられます。
  疫病抵抗性遺伝子R1を保有し、初発生が少し遅れることが多い。塊茎は疫病に強く、腐敗が少ない。
  Yウイルスにかかるとえそ型病斑を示し、判りやすい。Sウイルスでは褪緑した小斑点を生じます。
  初期生育は劣ります。枯凋期は「農林1号」ていどの中晩生です。
(3)地下部特性
塊茎は中・大粒が多く、粒揃いがよく、表面が粗です。澱粉価は「農林1号」より1〜2%高く、澱粉用品種です。ふく枝は長く、いもの緑化が多い。後期の肥大が急速で、中心空洞の発生が多い。褐色心腐も出やすい。
  塊茎腐敗が少なく、また休眠が長いため、貯蔵の容易な品種です。
  粉状そうか病、半身萎凋病、軟腐病、象皮(亀甲)症状の発生は少ないほうです。
  「紅丸」に比べ、澱粉価が高いが、澱粉中の灰分が多く、澱粉粒子が小さい。
(4)調理加工特性
ポテトチップスには、休眠が長く、乾物率が高いので使用可能ですが、製品が固めに仕上がり、中心空洞がでやすく、褐色心腐も発生しやすく、ポテトグリコアルカロイドの含有率が高いので、風味も劣っています。
(5)栽培上の注意
比較的冷涼な気候に適し、高温乾燥により減収しやすい。
 栽植密度、施肥量は「農林1号」などの中晩生種に準じて行う。
  いも着きの疎な品種なので、培土は早めに、土を充分かけるようにします。
  初期生育が劣りいもの肥大が遅いため、初期生育を良好にし、茎葉を後期まで保つように生育後期の疫病防除に努めておくとよい。早掘りには適しません。
  中心空洞の発生を抑えるには、疎植・欠株・晩植を避け、窒素の後効きをさせない栽培ようにするのがよい。


「エニワ」の塊茎。花は白い。


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