ジャガイモ品種ハツフブキ

(1)来 歴
 昭和41年「男爵薯」を母、野生種の種間雑種に「エニワ」などを戻し交雑して得た「WB61037-4」を父として交配し、昭和54年に奨励品種に決定されたものです。品種名の由来は、本品種の熟期が早いこと、でん粉の白を吹雪(雪)にたとえてもの。
 地方番号は「北海57号」、農林登録番号は「農林24号」です。澱粉収量が低く、早掘り適性にも優れた「コナフブキ」が育成されたことから普及は伸び悩み、昭和58年(1983)に245ha作付されたのを最高に以降は作付面積は減少し、平成5年(1993)に優良品種から廃止されました。
(2)地上部特性
地上部特性、枯凋期は「男爵薯」に比べ数日遅い、早生種です。
 茎長は「紅丸」よりやや低い。茎数、分枝数はともに中で、草姿はやや直です。茎の色は緑色で、紫色をおびています。地下部の茎の色は紫で、分枝基部葉柄の基部および小葉の付け根も紫をおびています。小葉はやや大きく丸みを帯びています。
 花は淡紫色で大きさは中です。花粉の量は少なく、自然結果はみられません。生育後期の早期黄化、落葉および斑点の発生がなく、後期の倒伏は少ないほうです。黄変期の茎葉の黄変は急なので、黄変直前まで葉色が濃い。
 葉巻病の病徴は明瞭で、Yウイルス病に感染しますとえそ病斑などを示します。
(3)地下部特性
形は偏卵形、皮色は淡黄白で、目の深さ、数とも中ぐらいで、表皮のラゼットはなく、尻の深さは浅い。ふく枝の長さは中で、その離れはよい。
 剥皮褐変は、「トヨアカリ」同様に、その発生が激しい。
 いもの肥大速度は「紅丸」程度で、「農林1号」より遅いが、でん粉価の上昇は早い。
最終でん粉価は「紅丸」に比べ約1%高く、「ムサマル」程度で、「エニワ」より高いことが多い。澱粉粒径分布は小粒のものの割合がやや多い。また、澱粉の粗灰分がやや多く、糊化時の粘度は高いほうです。
 疫病抵抗性遺伝子R1を保有し、レース0には侵されなく、初発生が「男爵薯」より数日遅れることが多い。圃場抵抗性はありませんが、疫病による塊茎腐敗や軟腐病抵抗性は「男爵薯」より強く、「農林1号」程度です。
 粉状そうか病抵抗性は「農林1号」より弱く、紅丸と同様です。亀の甲症状の発生は、「コナフブキ」並でやや少ない。黒斑病には弱い。倒伏が少ないので、軟腐病は特に多くはありません。
 ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子は持っていません。
 休眠はやや長く、「男爵薯」と「農林1号」の中間で、貯蔵性は中です。
 いも着きは「農林1号」よりやや疎の中です。いもの褐色心腐はまれに発生します。中心空洞はみられません。二次生長は地温の高い年などを除きほとんどみられません。塊茎の緑化程度は「農林1号」並の中です。
(4)栽培上の注意
萌芽及び初期生育は「農林1号」並ないしやや遅く、開花4、5日遅いので、初期生育の促進を図りつつ、秋播小麦の前作作物などに活用するようにします。
8月下旬ないし9月上旬の早掘りで、澱粉価、澱粉重が「紅丸」より勝ることが多いが「コナフブキ」などの早掘りなど、地域に適する品種の選択が望ましい。


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