ジャガイモ品種「インカのひとみ」(農林58号)(INKANOHITIMI)

  −カロテノイド系色素を含有する橙黄肉で良食味のばれいしょ品種 −
育成のねらい
 橙黄肉の品種として「インカのめざめ」が育成されているが、極早生で、収量性が低く、休眠期間が短すぎる などの欠点があることから、これらの改善をねらって育成されたもの。 品種名は、これがカラフルポテトのイ ンカシリーズに属し、いもの皮が赤を基本としているが目の部分のみ黄色で、めがねか瞳のように見えることか らつけられたもの。
来歴
 旧農林水産省北海道農業試験場(現(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター)のばれ いしょ育種圃場において平成7年に採種した「インカのめざめ」の自然受粉種子の中から選抜された品種です。 2006年に「インカのひとみ」と命名登録され、種苗法に基づく品種登録を申請している。 登録番号:【農林】 ばれいしょ農林58号。 (2006.10. 4)。 【種苗法】出願公表 第20105号 (2006.11.17)
特性の概要
 枯凋期は「インカのめざめ」より10日程度遅い早生です。 茎長は「男爵薯」よりも長く、茎は細い。そう性 はやや開張しています。
 花色は赤紫系、2次色は白が星形に分布し、開花数は少なく、自然結果は稀です。いもの形は倒卵、皮色は淡 赤、目の周囲が黄褐し、目の深さは浅く、肉色は橙です。
 収量は「男爵薯」よりも少なく、「インカのめざめ」よりもやや多い、いもは「インカのめざめ」よりやや大 きいものの極小に属します。休眠期間は「インカのめざめ」並の極短のままです。澱粉価は「男爵薯」よりやや 高く、「インカのめざめ」より低い。
 カロテノイド系色素は「インカのめざめ」よりやや多く、生いも1kg当たり7.7μg含み、良食味であり。調理 用で、サラダ加工原料にも使えます。
 水煮による煮くずれの程度は「インカのめざめ」並と少なく、調理後の肉質はやや粘です。チップの褐変程度 は少、フライの褐変程度は微です。低温貯蔵しますと還元糖、ショ糖ともに増えて甘味を増してきます。  疫病、Yモザイク病には「インカのめざめ」同様に弱く、そうか病及び塊茎腐敗には“中”程度の抵抗性を持 っています。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性は持っていません。
 塊茎の生理障害は、中心空洞及び裂開、二次生長の発生は無、褐色心腐の発生は微です。
 いもが小さいので、切断しないでそのまま植えるほうがいい。収穫も掘り残しや、ロッドからの落下を少なく する注意が必要です。休眠期間が短いので、茎葉が黄変したら速やかに収穫し、低温で萌芽を抑えるようにしま す。線虫抵抗性はないので、汚染された畑での栽培をさける。




左:「インカのひとみ」(落蕾多い)。 右:「インカのひとみ」の塊茎

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