ジャガイモ品種「アンデス赤」(レッドアンデス)

(ジャガキッズ レッド '90、紅男爵)


  <左の花の写真は岡山県籾村セーフティライス倶楽部岸氏提供のもの>
「アンデス赤」は、1972年(昭和47年)神戸大農学部川上幸治郎らが「アーリーローズ」とアンデス高地の2倍体栽培種のひとつ「ソラナム・フレハ(Solanum. phreja 252)の1系統」を交配して後、選抜育成していった3倍体品種。
岡山県牛窓町では、春作で成績のよいことに着目し、昭和62年に岡山県の岡山馬鈴薯採種組合が農水省嬬恋種苗管理センターにウイルスフリー化を依頼し、また、平成4年には岡山県が奨励品種に決定するとともに、国に原原種の増殖を要請したものです。
 岡山県を中心とした関東以西、中国や九州の二期作でつくられています。熟期は中晩生
 鹿児島県の秋作としてでつくった場合は、中生で、中ないし大いもが多く、多収となり、上手くつくるとごく粉質になり美味しくなると言われています。しかし暖地の春作では疫病(かび)で葉が枯れ、食味は中の上というところで、サラダに適します。
異名同種、同種異名があるので混乱しています。「ジャガキッズレッド」や「ネオデリシャス」と同じか、非常に近いものです。種いもはトキタ種苗などで扱っております。
熟期は、中生の晩。岡山県の例では、「デジマ」よりやや遅い。草型はやや開きぎみ、茎は細い。茎の伸張は旺盛、茎、葉柄、ストロンは淡紅桃色を帯びています。小葉の先端がやや尖鋭で、幅はやや細く、スプーン状。花色は赤紫系で数は中。


 
【写真はアンデス赤塊茎のアントシアンの分布。上が頂部】

【アントシアンは有害なものではありません】

  塊茎は球ないし偏卵形で、S〜M玉中心で「キタアカリ」より小さめでいも数は多い。皮色が紅。肉色は黄。二次色は、栽培環境によって変わるのか、一般市場で肉の全体が一様に黄色のもの、維管束部又は内随に淡紅色が分布しているものも見たことがあります。目数は少ないが、目の深さは中。
調理後黒変は少ないが、二次生長はやや多く、大粒になると中心空洞が出やすい外、褐色心腐も見られる。カロテノイドやビタミンCが多く、澱粉価は「男爵薯」と「農林1号」の中間程度で、粉質。サラダなどに使える。しかし、フライやチップにすると外観は良くないものとなります。
線虫抵抗性は無い。疫病に弱い。休眠が短く、保管・扱い中に容易に萌芽してくるのて長期の貯蔵に向かない。北海道の奨励品種にはなっていないもの。

ジャガイモ品種「ジャガキッズ」(パープル '90 )

 麒麟麦酒株式会社が、名城大学名誉教授 故川上幸治郎などにより育成された「ネオ・デリシャス」を材料として、そのプロトプラスト(細胞膜を細胞壁溶解酵素で取り除いた裸の体細胞)から植物を再生させ、原品種より形や目の深さの点で優れたものを選抜・育成したものです。
ジャガイモではわが国における最初のバイオテクノロジー利用による品種。麒麟麦酒株式会社が平成6年8月22日に登録した(登録番号4054)。皮色は濃紫。肉色黄。形状は偏卵、目はやや深い。茎はレッドより退化し、茎色がより濃い。これも休眠は短い。
 疫病に弱く、休眠が短く、長期の貯蔵に向かないので、北海道などの奨励品種にはなっていません。


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「ジャガキッズ パープル」に見られた4弁の花。 塊茎:「アンデス赤とジャガキッズ パープル(紫皮)」


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