(1)来 歴
昭和46年(1971)に長崎県総農林試愛野馬鈴薯支場の秋作において、青枯病に強く食味に優れる「チヂワ」を母、澱粉価が比較的高く良質多収な「長系80号」を父として交配した中から選抜されました。
名は、有明海、雲仙、多良岳の両峰に因んでつけられました。
昭和61年農林登録したものです(ばれいしょ農林28号)が、収量が「ニシユタカ」や「デジマ」より低いので普及が遅れ、長崎県の奨励品種から廃止されました。
(2)地上部特性
草型は直。茎長は「ダジマ」より短い。熟性は「ニイユタカ」よりやや早い。茎数は、春作では「デジマ」並で少なく、秋作では「デジマ」並で多い。花色は紫で区別しやすく、数は多い。肌あれは生じにくく「デジマ」や「ニシユタカ」より少ない。
。
(3)地下部特性
塊茎の形は「ニシユタカ」に似た短楕円で、目は浅い。皮色は「デジマ」よりやや濃い淡黄ないし黄白で、光沢があり、きれい。澱粉価は「ニシユタカ」より優るが、「農林1号」より低い。水煮の肉色は淡黄で、「農林1号」の白とは違っています。食味は「ニシユタカ」より優り良です。
いも着きは密で掘り取りは容易です。
休眠は「農林1号」より短く、春作産、秋作産とも「デジマ」よりやや長い。萌芽期は「デジマ」並に早く、熟性は中生で「デジマ」や「ニシユタカ」より早い。
(4)栽培上の注意
青枯病には「ニシユタカ」より明らかに強く、「農林1号」と比べても同等かより強い。このたため、連作障害による青枯病発生地帯に導入可能です。
そうか病には「ニシユタカ」並ないしやや強いがやや弱に属し、軟腐病や粉状そうか病には中程度に強い。石灰欠乏による基部の変色が発生しやすく、貯蔵性は乾腐病などによる腐敗があるので注意を要します。
附:長崎県の奨励品種から廃止された品種ですが、民間育種家の俵氏はメイホウの変異株から皮色が赤紫の「タワラムラサキ」と紫の「サユミムラサキ」を見つけて品種登録を行った。