ジャガイモ品種「オホーツクチップ」(農林52号)(北育2号)

長 所
  • 早生の加工原料用で、ポテトチップ適性が優れる。
  • ジャガイモシストセンチュウ抵抗性。
  • そうか病には「トヨシロ」よりも罹りにくい。
短 所
  • 上いも平均一個重が小さく、収量性はやや劣る。
  • 休眠は短い。

(1)来 歴

チップスメーカーは早生で収穫直後から原料にできる品種を求めています。これに応え、栽培する農家に役立つジャガイモシストセンチュウ抵抗性の付与も目的として平成3年(1991)に北海道立根釧農業試験場において、「アトランチック」(北海道優良品種 平成4年)を母、低還元糖含量系統の「ND860-2」を父として交配、以後選抜を進めました。
平成10年からは馬鈴しょ科移転に伴い北海道立北見農業試験場(現地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 農業研究本部. 北見農業試験場)で継続、平成16年(2004)に北海道の優良品種に採用されました(【北海道優良品種】ばれいしょ北海道第40号)。翌年の平成17年(2005)2月に「オホーツクチップ」の名で命名登録され、平成19年(2007)種苗登録も終えています(【種苗法】第14895号)。品種名は普及の見込まれる地域からつけられています。

(2)特 性

形態的特性:  そう性や茎の長さは「トヨシロ」に似ています。葉色は「ワセシロ」より淡く、「トヨシロ」と同様の“淡緑”、花の数は「トヨシロ」より少なく、サイズは「トヨシロ」並で、色は白です。結果は稀に見られます。ふく枝の長さは「トヨシロ」より長く、いも着生の深浅は「トヨシロ」並の“中”です。 いもの形は「トヨシロ」、「ワセシロ」の“扁球”に対し“球”、皮色は「トヨシロ」の“黄褐”、「ワセシロ」の“白黄”に対し“褐”です。表皮の粗滑は「トヨシロ」と同様にやや粗、目は浅く、肉色は“白”です。
(3)生態的特性
 枯凋期は「ワセシロ」よりやや遅い早生、初期生育は「トヨシロ」より速く、「ワセシロ」並の“やや速”、早期肥大性は「トヨシロ」や「ワセシロ」より遅い。収量は「ワセシロ」よりやや劣ります。いものサイズは「トヨシロ」及び「ワセシロ」より小さい。、でん粉価は「トヨシロ」、「ワセシロ」並の“中”です。いもの休眠期間は「トヨシロ」、「ワセシロ」より短い“やや短”です。褐色心腐は「トヨシロ」、「ワセシロ」並の“微”、中心空洞は「トヨシロ」より発生は少ないが“微”、二次生長は「ワセシロ」より少なく、「トヨシロ」並の“微”、裂開は「トヨシロ」、「ワセシロ」並の“微”です。
(4)病害虫抵抗性
 そうか病抵抗性は「トヨシロ」、「ワセシロ」の“弱”に対し“中”と優れており、粉状そうか病抵抗性は「トヨシロ」、「ワセシロ」の弱に対し“やや弱”です。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1を有すると推定されています。塊茎腐敗は「トヨシロ」及び「ワセシロ」より少ない。
(5)品質特性
ポテトチップの褐変程度は収穫直後は“無”で、「トヨシロ」及び「ワセシロ」に優ります。貯蔵後も「トヨシロ」並ないし以上のチップカラーを示しますが、休眠明けが「トヨシロ」より早いため、リコンディショニングにより芽が伸びやすく長期貯蔵には適しません。用途は“加工用”(ポテトチップ原料用)です。 水煮による黒変、煮崩れの程度は「トヨシロ」、「ワセシロ」並の“中”、調理後の肉質は“やや粉質”です。調理としては揚げ物に向き、マッシュで美味しいが、ゆでるとねっとり感が強いものになります。
 

(3)適地、栽培上の注意

 北海道オホーツク振興局管内でおもに栽培されています。
 (1) 肥大性がやや遅く小粒であることから、生育促進に努める。
 (2) 倒伏しやすい傾向にあるので、過繁茂や軟弱な地上部生育にならないよう施肥量に留意する。


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