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2001年農研機構・北海道農業研究センターで、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性の「ムサマル」を母、「北海87号」を父として交配し、以後長い年月をかけて選抜育成した。2015年種苗登録(北海105号)と北海道優良品種に登録された。
茎長は「コナフブキ」より高く、1mを超えることが多い、花色は白で、その数は多く華やかである。父方祖母の「コナフブキ」と比べ、開花期はやや遅く、枯凋期は10日ほど遅く、年により降霜まで枯凋しないことがある極晩生である。どの時期に収穫しても澱粉価は「コナフブキ」より低く、水分は多い。「コナフブキ」の枯凋期の澱粉収量は同品種並であるが、その後生育期間の長いことにより、収量が増え、でん粉収量が高まった。
いもの形は「コナフブキ」同様の短卵、目の深さはやや浅く、目の赤みはより薄い。皮色は淡いベージュ色で、肉色は「コナフブキ」の白に対し明黄である。でん粉含有率(ライマン価)はいつ収穫しても「コナフブキ」より低く、最終値で2ポイントほど低い。しかし、いも数が多く、いもはやや大きくなるので、8月以降収量は勝ってきて、でん粉収量では1割程度勝る。
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持ち、Yモザイク病抵抗性は祖母「コナフフキ」同様の"強"です。「コナフブキ」と比べ、そうか病には心持かかり難く、塊茎腐敗には弱い。温暖地で発生する青枯病には弱い。
本品種のでん粉は、「コナフブキ」と比較して、でん粉粒子の大きさはやや大きく、離水率はより低く、リン含量はより高く、糊化開始温度はより低く、最高粘度と白度は同等です。すなわち、従来の品種とは異なり、リン含量が高いが、離水率は低い特徴があるので、水産練製品により適しており、新規の用途の開発が期待されよう。
適地:寒地・寒冷地。
北海道のでん粉原料用の主要品種である「コナフブキ」は後作に秋まきコムギを導入しやすい熟期であり畑輪作体系維持に役立つので、線虫発生のない圃場での栽培はかまわないが、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持っていない。線虫密度を低下させ、発生面積を拡大させないためには本品種など抵抗性品種の栽培が望まれている。本品種は極晩生なので、栽培に当たっては、「コナユタカ」と組み合わせるなどの配慮がいる。
疫病菌による塊茎腐敗に対する抵抗性は「コナフブキ」より弱いので、生育後期に塊茎腐敗に効果のある薬剤を使うなど、疫病防除を適切に行う必要がある。