ジャガイモ品種「プレバレント」(PREVALENT)

(1)来 歴
原名「Prevalent」。オランダで「Ambassadeur」に「Loman M 54106-1」を交配して育成された。わが国には北海道澱粉工業会が導入し、「S891」の名で道立農試の輸入品等選定試験などで適応性などを検定してきて、平成11年になり北海道内斜里町の地域特産品種として増殖申請した。

(2)地上部特性
 枯凋期は晩生で「アスタルテ」より早い。萌芽は密で球根状、かすかに褐赤色を呈し、毛は薄い(まばら)。頂芽はかなり大きく、密で、基調色は緑。
 茎長は「農林1号」程度で、火山灰ややせ地では伸びが悪いことがある。倒伏は「コナフブキ」より少ない。茎はかなり太く、直立で、分枝はほとんどしない。色は緑ですが葉柄にかすかに紫の着色をみます。茎数は少ない。
茎葉の展開は速く、おう盛に繁茂します。干ばつに強い。
 小葉はかなり大きく垂れ、淡緑ですがわずかにアントシアンによる紫を帯びている。側葉(第1次小葉)はやや大きく、幅広く葉脈がはっきりしている。
花の数は少なく、年によって開花期に達しないことがあります、花の大きさは小さく、色は濃赤紫です。自然結果はごく稀れです。
疫病にかかるが、「エニワ」より強い。ウイルスA及びX、並びに癌腫病に免疫、ジャガイモシストセンチュウには抵抗性です。葉巻病の発生が少ない。

(3)地下部特性
 塊茎の目の深さ中。形は短卵〜球、皮色黄白、肌は粗が基調、肉色は黄、目は深さはやや深い。肉は粉質で煮くずれしやすい。水煮黒変はなく、放冷後の肉色はよい。煮物には不向きで、マッシュ等に使えます。貯蔵中の甘みの増加は少なく、食味はあっさりしています。チップスなど揚げ物には向きません。市販の生食用をねらう。
 いも数は多いが、上いも平均一個重は「コナフブキ」より小さいので、早掘りに不向きです。上いも収量は「紅丸」より劣り、「農林1号」並ないし「コナフブキ」程度ですが小いも割合が高い。二次生長は生じやすいが、中心空洞や褐色心腐は出にくい。
 澱粉価は「コナフブキ」より低く、「エニワ」並ないし低い。
 澱粉粒径が大きいのが特徴で、白度が高く、糊化時の最高粘度が極く高く、その時の温度が低いが、ブレークダウンが大きく、澱粉中の灰分、りんは「コナフブキ」より高く、劣っています。休眠は長い。
 そうか病には通常品種並に罹病します。

(4)栽培上の注意
疫病に比較的強いが、圃場抵抗性はないので通常の防除が必要です。
出芽は「コナフブキ」より遅いので、浴光催芽などを実施すると効果があります。
 株間を狭くすると小粒ないもが多くなりやすい。


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