(1)来 歴
北海道農業試験場において、平成3年「とうや」を母に、でん粉価が高い育成系統「83068C−51」を父として交配し、以降、北海道農業試験場と北海道農業研究センターにおいて選抜育成を加えてきたものです。
平成17年に北海道の優良品種に決まったものです。地方番号は「北海89号」、農林登録番号は「ばれいしょ農林53号」です。
(2)地上部特性
茎長は「トヨシロ」並みです。花色は白です。茎菓の熟性は「トヨシロ」並みで、熟期は中早生です。
(3)地下部特性
いもの形は倒卵、皮色は黄褐、目は浅く、肉色は黄白です。目数は少ない。粒揃いは「トヨシロ」並みのやや整です。いも数は「トヨシロ」よりやや多いが一個重はやや軽く、収量は「トヨシロ」並みの中です。でん粉価は「トヨシロ」並みの中です。
中心空洞と二次生長は無、褐色心腐と裂開は微です。打撲黒変耐性は「トヨシロ」より弱いです。疫病による塊茎腐敗抵抗性は「トヨシロ」よりも強いです。そうか病抵抗性は弱です。ジャガイモシストセンチュウには抵抗性です。
休眠期間は「トヨシロ」より短く、中に属します。
(4)調理加工適性
煮崩れは中、黒変は微、肉質はやや粉です。
早掘りした際の収穫時期別のポテトチップカラーは、「トヨシロ」より早い時期でも優れますが、「ワセシロ」よりは、アグトロン値の上昇は遅いです。普通掘りの際のアグトロン値は、「トヨシロ」並みで、貯蔵後では、「トヨシロ」より優れます。
ポテトチップの色合いは、若干黄色が強いですが、他のチップ用白品種と比較して大きな差は無いです。暖地産においてもチップカラー(アグトロン値)は「トヨシロ」並みからやや優れます。「トヨシロ」より遊離アスパラギンがやや多く、還元糖含量は「トヨシロ」並みからやや少ないです。
フレンチフライの褐変程度は「トヨシロ」と同じ微で、外観も良いことから、フレンチフライ加工にはやや適します。
光に当てるとグリコアルカロイド含有量は増えますが、いつも「トヨシロ」より少ないです。
(5)栽培上の注意
疎植すると収量低下の度合いが大きいので避けます。「トヨシロ」より打撲に弱いので、収穫や移送時に打撲を与えないように注意します。目の数が少ないので、種いもを切断する場合は、頂芽の位置に十分注意します。