盛岡冷麺

***腰強く、うどんほどではないが太め***

 『ジャガイモの目(くぼみ)には毒ある』から始まり、『サツマイモ同様ジャガイモも光に当てて置いてもかまわない』、とか『今でも、カタクリ粉はカタクリからとる』と思っている人が意外に多いのに驚かされます。北海道産ジャガイモはでん粉にされることが一番多いことも、聞いてびっくりすることでしょう。片栗粉ことジャガイモでん粉は、カマボコなどの水産練り製品、即席麺、はるさめ、くずきりスナック菓子、衛生ボーロ、えびせん、ぎょうざなどの皮、わんたん、もちなどに使われます。全国的にはラーメンほど知られてはいませんが、同じく道産でん粉を活かした盛岡冷麺に触れてみましょう。
○盛岡冷麺元年は昭和28年
 ラーメン同様、製法の基本は外国から入ったもの。
 発祥の地朝鮮半島の各地では、古くから冷麺が食べられており、一年を通じてたびたび食べられ、冠婚葬祭や誕生祝いの席には必ず出てくるようです。李朝時代の「東国歳時記」、「海東竹紙」にはピョンヤン冷麺が、冷麺の中で一番美味しいと書かれているそうです。
 この平壌生まれの青木輝人さんが盛岡で始めた。後日盛岡冷麺を誕生させた輝人さんは昭和18年に来日し、東京の食べ物屋で働いていたが、敗戦の混乱ではなかなか食べていけない、と言うことで友人の誘いに乗り盛岡に移り住んだ。28年、自ら食べ物屋『食道園』を開いた。(盛岡市大通1−8−2。電話019-651-4590)
 最初は、すき焼き、豚カツなどの多様なメニューに『故郷の味も入れたい』と加えたものだった。当初は1日1、2杯の客しかつかなかったが、根気よく続けた甲斐があって、口こみなどで注文する客が少しづつ増え、昭和40年代になってリピーターも多くなった。こうして、焼き肉・冷麺の店が確立していきました。『食道園』は盛岡駅にほど近い繁華街、大通りの裏手にあります。今は二代目の青木雅彦が引き継いでいる。
 その後、「焼き肉・冷麺」を掲げる店が次々と誕生し、その合間に、そば屋とかラーメン屋があるまでになってしまった。ぴょんぴょん舎、やまなかなどはチェーン店を持っています。
 札幌でも、あまり苦労せずに食堂、焼き肉屋のメニューに見かけるが、私のお薦めはススキノの西にある『焼肉レストラン・トトリ』(中央区南5条西7丁目。電話011-531-5893)。粘度の強い『コナフブキ』でん粉を原料として製造した腰のつよい盛岡冷麺を使っている。辛さの指定ができるので、初めての人でも気楽に入られます。西瓜、ゆで卵、キムチは同じに入っている

北海道でも目につく

○どんなもの
 ピョンヤン冷麺は美味しい大根漬け(キムチ)の漬け汁と肉汁を麺にからめて食べられています。盛岡冷麺のスープは、さっぱりしているようで、しっかりとこくのある牛肉ベースの澄んだものが多い。
 麺は、ジャガイモでん粉の外に朝鮮のものは、ソバ粉が入いっていてやや細めなのに対し、わが国で食べるものは太めであり、腰を強くし、色を白く透明にするためか、小麦粉を使っている。
 具としての果物は、朝鮮では梨が定番だが、わが国では、リンゴ、西瓜が多く、キウイとかサクランボも見かけられる。
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