(1)来 歴
平成4年北海道立根釧農業試験場(中標津町)において疫病に強いインドの品種「I-853」を母、疫病圃場抵抗性でジャガイモシストセンチュウ抵抗性の「花標津」を父として交配し、以後北海道立北見農業試験場(訓子府町)へ移転した馬鈴しょ科で選抜育成を継続し、平成18年(2006年)北海道の優良品種となったものです。農林登録番号は「ばれいしょ農林59号」です。
消費者の食の安全に対する関心の高まりを背景に、無農薬・減農薬栽培等に取り組む生産者が増えていますが、この疫病抵抗性品種を導入することで農薬使用の大幅な低減が可能となります。
品種名の意味は、無農薬栽培が可能で、クリーンで清らかなイメージをもち、皮色があかね色なこと。
(2)地上部特性
「男爵薯」と比べ、茎長は高く、葉は小さく、葉色の緑はやや淡い。花の数はより少なく、大きさは同程度です。花の色は同じ赤紫系で、結果は少し見られます。枯凋期は、「男爵薯」より3週間以上遅く、「花標津」よりやや早い中生種です。
(3)地下部特性
形は偏球、皮色は淡赤、肉色は「男爵薯」より少し黄色い黄白です。肉質はやや粉、食味は「男爵薯」なみ。「男爵薯」「花標津」より目が浅く、外観品質が優れています。一個重は「男爵薯」並ですが、収量で勝っています。でん粉価は「男爵薯」および「花標津」よりやや高い“やや低” です。匐枝は「男爵薯」より長い。
「男爵薯」より甘みがあって香りが良く、ほぼ無農薬でも収穫量が少ししか減らない。「男爵薯」と比べ、二次生長は同程度。褐色心腐はやや多く、打撲黒変耐性はやや強く、中心空洞は少ないです。
疫病罹病度の進行は「男爵薯」「メークイン」より著しく遅いのが本品種の特徴、つまり疫病圃場抵抗性が “強”で、疫病無防除栽培時の収量の低下が「男爵薯」よりかなり少ない。そしてジャガイモシストセンチュウ抵抗性も持っています。Yモザイク病抵抗性は「男爵薯」より強く、粉状そうか病抵抗性も「男爵薯」より強めですがそうか病には同程度です。
塊茎の休眠期間は「男爵薯」より短い“やや短” です。
(4)調理・加工特性
「男爵薯」と比べ、剥皮褐変は少なく、水煮後の肉質は同程度のやや粉だが、煮崩れはより多い。舌触りは同程度。調理後黒変はより少なく、チップ・フライの褐変程度は少ない。「男爵薯」並に食味が優れ、コロッケ加工適性もあります。
(5)栽培上の注意
褐色心腐の発生することがあるので、多肥や疎植を避け、十分な培土を行うことが大切です。
黄変期に地上部が再生することがあるので、その場合には地上部処理を行うといい。