特 徴 |
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北海道農業試験場(現(独)農研機構 北海道農業研究センター)において、紫皮で外観の優れるジャガイモシストセンチュウ抵抗性生食用ジャガイモ品種の育成を目標として、1992(平成4)年に「長崎紫」を母、「十勝こがね」を父として交配採種し、2000(平成12)年に播種した実生集団より選抜を行い、以降、各種の特性について調査を実施し、紫皮で黄肉色の青果用新品種「紫月」を開発。2013(平成25)年10月品種登録され、翌年北海道の在来品種等優良品種となった。
肉色は淡黄色で、切断面が円形であり、満月をイメージさせるため「紫月」(しづき)と名前をつけられたもの。
茎長は「男爵薯」よりやや長く、草姿はやや直で、茎は紫色で「男爵薯」よりも細く、分枝は「男爵薯」より多い。花は青紫色で、その数は少ないため、開花が見られない年がある。岩手で自然結果が見られことがある。枯凋期は「男爵薯」並みの早生である。
塊茎の形は「男爵薯」同様の球で、目の数は少で、深さは浅い。皮色は紫、肉色は淡黄である。
塊茎の休眠期間は「男爵薯」並の“やや長”である。枯凋期は「男爵薯」並の“早”である。いも数は「男爵薯」並、サイズ、収量も「男爵薯」並で少ない。でん粉価は「男爵薯」並の“中”である。
剥皮後の褐変は「男爵薯」より少ない。水煮の肉質は「男爵薯」よりも粘質の“やや粘”、煮くずれは「男爵薯」より少ない“少”、水煮後黒変は見られないので煮物など一般家庭料理に向いている。食味は「男爵薯」並の“中上”である。
二次生長、褐色心腐、中心空洞の発生は「男爵薯」よりも少ない。裂開は
「男爵薯」並に見られない。
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性があり、疫病、Yモザイク病、青枯病には「男爵薯」並に弱く、そうか病、塊茎腐敗に対しては「男爵薯」よりも強いものの“やや弱”に属する。打撲による黒変の出方は「男爵薯」よりもやや少ないが“やや弱”である。