(1)来 歴
この品種は、フランスのジェルミコバGERMICOPA社が育成したものです。1983年ユリック・ボネールが「ランディア」に「オーシャイアン」を交配し、1989年にその特性が安定していることを確認して育成を完了したもの。1996年EUでCynthiaの名で品種登録したもの。キリンビールが1997年に導入し、2003年に種苗登録しました。本品種の取り扱いは、キリンビール鰍フ子会社の潟Wャパンポテトが担っております。
「シンシアCynthia」は「ダイアナDiana」の別名。ローマ神話の月の女神アルテミスの別名キュンティアの英語読み。「愛恵」とか「誠実」の意味があります。
一部の方には、南沙織さんのホームページ『Synthia Street』とか、原田知世とか吉田琢郎の歌で知られていましょうか。シニアの方なら1952年の劇映画『キリマンジャロの雪』でハリー(グリゴリー・ペック)と知り合った火のようなモデルのシンシア(エバ・ガードナー)を思い出すでしょうか
(2)特 性
葉の色が濃く、毛茸は多い。倒伏は多いほうである。花の数は稀、花色は白。ふく枝の長さは短、いも着生の深浅は浅い。塊茎は長卵形で大きく、皮は黄白(白黄)色。目は浅い。肉色は淡黄色、ライマン価はやや低く、肉質は中ないしやや粘で、「メークイン」同様に煮くずれは少ない。水煮後黒変は無く、用途は生食用で、肉ジャガ、煮物、スライスサラダに向きますが、還元糖が高めなのでポテトチップスなどの揚げものには適しません。「さやか」に似て大きいですが、より形が長く、肉色が淡黄なので区別できます。
枯凋期は「メークイン」より早い中生。褐色心腐、中心空洞、裂開及び黒色心腐は無、二次生長は微です。軟腐病、青枯病にはやや強く、ジャガイモシストセンチュウに抵抗性はなく、黒痣(あざ)病に罹りやすく、粉状そうか病にも弱い。
葉巻病には弱いほうですが、PVY-T系統には罹りにくい
打撲には強いほうであり、休眠は長く貯蔵性はよい。
(3)栽培上の注意
目が浅く、芽の出る位置が判りにくく、また休眠期間は「十勝こがね」より短いが、長いので、浴光育芽をお1月ほど行って、よく芽が出ているものを植えると、その後の生育を均一・良好にします。
植付後の高温は萌芽・出芽・生育の不良の原因となるので、温暖な地方では
植付時の気温やマルチに十分注意します。
多肥栽培を行うとでん粉価が低下し、食感が変わるので、適正な施肥量とします。
(2002/11現在。↓下の写真はジャパンポテト(株)提供。問い合わせ先は同社へ03-5541-5335)