ジャガイモ品種「ホワイトバロン」(WHITE BARON)

(1)来 歴
ホクレンで、「男爵薯」の体細胞をバラバラにし、そのひとつひとつから新しいいもを育て、平成6年種苗登録申請をした、いわゆるバイテク品種です。
 品種名は、原品種の男爵(baron)及び肉の剥皮後褐変が少ないことを示しています。
(2)地上部特性
幼芽は「男爵薯」、「ワセシロ」によく似ています。茎は「男爵薯」よりやや細く、茎長は低い。茎に分布する2次色は「男爵薯」より薄めの紫赤色です。草型は「男爵薯」同様の中間型で、分枝は少ないグループに属します。
 頂葉や小葉の大きさ、その着き方、及び花の色は「男爵薯」に極似しています。しかし花は「男爵薯」より大きいので区別できます。
枯凋期は「男爵薯」より遅く、中早生種に属します。
葉巻病、Xモザイク病、Yモザイク病、及びSモザイク病には弱く、疫病抵抗性遺伝子を持たず、疫病による塊茎腐敗抵抗性も弱です。
(3)地下部特性
 塊茎の形は「男爵薯」の球とは異なり、偏球であり、皮色は「男爵薯」より濃い黄褐、表皮は「男爵薯」よりやや滑です。
 「男爵薯」に比べ、目の数は多めですが、浅くなっています。
初期生育は「男爵薯」より遅い中ですが、早期肥大性は同品種並のやや速です。
いも数は「男爵薯」より若干少なく、平均一個重は同等以上で、収量は、「ワセシロ」より劣り、ほぼ「男爵薯」に近い少です。でん粉価はほぼ「ワセシロ」程度で、「男爵薯」より高い。
 肉質は「男爵薯」程度のやや粉だが、煮くずれは「男爵薯」より多い。舌ざわりは「男爵薯」より粗です。
 褐色心腐、二次生長の発生は「男爵薯」並であり、中心空洞は「男爵薯」より少なく、「ワセシロ」程度の発生をみます。
 食味、およびチップスやフレンチフライの適性は「男爵薯」程度です。原品種「男爵薯」に比べ、剥皮褐変(酵素的褐変)が明かに減少して剥き皮後の流通が容易になり、さらに目が浅くなり、休眠期間が長く変わり、使いやすくなっております。
 休眠期間は「男爵薯」よりも長い。



「男爵薯」の花に似た「ホワイトバロン」の淡赤紫色の花。


左「男爵薯」、右やや長めの「ホワイトバロン」の塊茎(写真:ホクレン農総研提供)

剥皮後褐変に差がでてきた男爵薯」と「ホワイトバロン」の比較(写真:同)

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