カルビーポテト株式会社がジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ長期貯蔵向けポテトチップ用品種の育成を目標として、アメリカのコーネル大学より導入した「Monticello」を母、「きたひめ」を父として人工交配を行い、選抜し、2017年北海道優良品種に登録されたものである。
収穫時のチップカラーは「トヨシロ」より優れる。長期貯蔵後のチップカラーは「トヨシロ」「スノーデン」より優れ、カルビーではポテトチップス用原料としての使用時期は6月頃までを想定している。すなわち、長期貯蔵後のポテトチップ加工適性は、「スノーデン」や「きたひめ」よりアグトロン値が優り、ポテトチップカラーが優れる。
地上部特性
草姿はやや直立型、草高は「トヨシロ」と同様の中である。花色は白で、花数は「トヨシロ」よりやや少ない。初期生育は「トヨシロ」よりやや劣る。枯凋期は「トヨシロ」より10程度遅く「スノーデン」より5日程度早い中生種である。
地下部特性
塊茎は卵形で、目の深さは極浅〜浅で、表皮は「トヨシロ」と同様に“淡ベージュ”(黄)で、塊茎の肉色は“白”である)。塊茎の表皮のネットは少ない。
いもサイズは「トヨシロ」並ないしやや大きい。規格品収量は「トヨシロ」より優れ、スノーデンとほぼ同等である。比重・でん粉価は「トヨシロ」「スノーデン」より高い。褐色心腐や中心空洞など内部障害の発生は「トヨシロ」並みの微であり、裂開、二次成長などの外観異常の発生は「トヨシロ」よりも少ない。褐色心腐発生が「スノーデン」より多いことがあるが「トヨシロ」より少ない。打撲黒変耐性は「スノーデン」並である。そうか病、粉状そうか病の発生は「トヨシロ」、「スノーデン」より少ない。
栽培上の注意点としては、萌芽が「トヨシロ」より遅く、初期生育が悪いため浴光催芽を励行する。またいも数がやや少ないので、栽植密度に留意する。打撲抵抗性が「やや弱」であることから、収穫時の取扱には十分注意する必要がある。