ユキジロフレンチに向いていた

(1)来 歴
北海道農試において、昭和28年「ケネベック」に「農林2号」を交配し、昭和36年に奨励品種となりました。品種名は肉色が白いことに由来しています。
 地方番号「北海30号」、登録番号は「農林13号」です。優れた品種であったが、増殖過程で生産力の低い系統に変わったため、「ホッカイコガネ」にとって替わられてしまいました。
(2)地上部特性
枯凋期は、ほぼ「農林1号」程度です。生育後期には草勢が「農林1号」よりやや強くなり、倒伏することもあります。
 草型は中ないしやや開張、茎は太い。茎数はやや少ないが、分枝数はやや多い。茎には淡赤紫の着色が点在し、茎翼は波状です。
 葉色は濃く、小葉はやや大きく、疎に着いています。
 花はごく少ない。大きさはやや小さく、淡紫色です。
疫病の初発生は「農林1号」より遅い。葉巻病やYモザイク病(えそ型がでる)にはやや弱い。

(3)地下部特性
いもは中・大粒が多く、屑が少ない。目が浅く、数は少ない。いも着きはやや疎です。肉の白いのが特徴で、剥皮黒変が少ない。二次生長は少ないが、頂部(冠部)などに亀裂(裂開)を見ることがあります。褐色心腐はごく少ない。いもが大きく、表皮の緑化がやや多くなりやすい。
 そうか病には「トヨシロ」よりやや強めの中ないしやや強であり、黒あざ病、青枯病、軟腐病および粉状そうか病の発生は一般品種並で、疫病による塊茎腐敗にはやや弱い。
(4)調理加工特性
いもが大きく、還元糖含有率が低いため、主としてフレンチフライなどに適します。マッシュポテトには「ワセシロ」、「アトランチック」同様に使用できます。
 いもはやや粉質であり、煮くずれは少ない。裂開のある塊茎のでん粉価は非常に低い。
 でん粉価は、「農林1号」並ないしやや低い。休眠は長い。
(5)栽培上の注意
二毛作には向かないが、関東以北の各地に栽培可能です。
 排水のよい肥沃地でよい成績を期待でき、排水の悪いところには適しません。
 全収量は株当り茎数6、7本で多くなりますが、規格内収量は1〜3本で多い。このため、2Lを切った1目植えとか、頂芽部を10gほど切除した頂芽除去の半切りいもを植えることがあります。
 株間は通常30〜40pで、生食用品種よりやや疎とします。紙筒移植時などの中心空洞の発生は、400g以上の特大で多くなりやすい。中心空洞や冠部の裂開の発生を少なくするには、黒あざ病の防除をし、地域に見合った施肥量、うね幅、株間を検討するとよい。
 施肥量は、前作物・地力・堆肥量を考慮し、地表から第1花房までの茎長が40〜45p、草丈70〜80p、葉面積指数3.0前後にとどまる程度がよく、第3花房が咲かない範囲にとどめなければなりません。
 生育後期の疫病防除が不十分であったり、湿地で栽培されたり、収穫後の乾燥が悪かったりしますと、貯蔵中の腐敗を招くことがあります。
 晩生で、地温が10℃以下になって収穫されたり仮貯蔵されますと還元糖が増えるだけでなく、収穫時の打撲傷、皮下黒斑を増すので、肥大・収穫を遅れさすような窒素の多用を避ける注意が必要です。土壌水分が多い場合も、肥料が後効きの傾向にあります。

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