ジャガイモ品種

「ユキラシャ」(農林42号)(北海83号)

長 所
  • そうか病に抵抗性がある。
  • 目や尻が浅く加工歩留まりが高い。
  • 休眠が長く、貯蔵性に優れています。
短 所
  • 休眠期間が長いため、出芽が遅く栽培が難しい。
  • 使いたいそうか病の多い畑では線虫も出やすいが、線虫には弱い。。
  • 裂開が発生することがあります。
  • 外見が劣ります。

肉白、休眠が極長い。目が極浅くて剥皮歩留まりが高く、変色が少なく長期貯蔵が可能である。しかし、肌にラセットがあることから、直接市販するよりも、サラダ、コロッケなど考えた業務用あるいは特定販路をねらうのがよい。
 線虫抵抗性がなく、収量、粒大は「男爵薯」より劣り、黄変も遅れる。


(1)来 歴
 北海道農業試験場で、線虫抵抗性の食用品種の育成を目標として、平成3年にラセットがあってそうか病抵抗性の「Early Gem」を母、S.tuberosum ssp. andigena、S.demissum、S.stoloniferum、S.commersoniiに由来する種間雑種系統「86002-100」を父として交配し、選抜を加え、平成12年北海道の奨励品種となりました。
「ばれいしょ農林42号」、地方番号は「北海83号」。同年10月「ユキラシャ」と命名登録された。これは肉色の白とラセット(ざらざら網目)皮のある外観とを表現したもの。なお「raxa」は地が厚く、密な毛織物をいうポルトガル語、漢字をあてれば「羅紗」。国産にはこのような肌のザラつきの強い品種がこれまでなかったことから差別化し命名した。
(2)地上部特性
 休眠期間が長いため、萌芽、初期生育は「男爵薯」より遅れる。
 茎長は「男爵薯」より10〜20cm高く、「農林1号」より低い。茎は太い。草型は中間〜やや直、葉は淡緑、やや長く先が尖っています。幼芽には赤や紫の着色はみられない。小葉は「男爵薯」並に広大です。
 開花期は「男爵薯」より遅い。花は白、開花数は「男爵薯」より少なく、自然結果は稀れです。熟期は「男爵薯」より2〜7日遅い中早生。
疫病には「男爵薯」よりやや罹り難いがやや弱い。塊茎腐敗は「男爵薯」よりやや罹り難い。葉巻病には「男爵薯」よりやや罹り難い中で、Yモザイク病の罹りやすさは「男爵薯」程度で弱い。

(3)地下部特性
 いもは楕円〜卵形。皮色は褐色で、目の深さは浅い。塊茎表面は粗く、ラセットがあります。肉色は白。
 いも数、粒大は「男爵薯」程度で、収量は「男爵薯」よりやや劣る。
 そうか病に強度の抵抗性があり、「スタークイーン」より強い。つまり、汚染圃場においても、病斑が小さくとどまり、ピーラ剥皮では支障にならないので業務用に使いやすい。粉状そうか病にも抵抗性があります。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性はありません(h)。
(4)調理加工特性
 澱粉価は「男爵薯」より1〜1.5%ほど高く、肉質はやや粉で、煮崩れしやすい。  褐色心腐は「農林1号」より少なく、「男爵薯」並の微発生、調理後黒変(剥皮褐変)は「男爵薯」より少なく、フライ、チップスの褐変程度は「男爵薯」並の中です。食味は、「男爵薯」並で、用途は調理(業務)用です。
 変形型二次生長は少なく、裂開は「男爵薯」、「農林1号」よりやや多い微発生です。中心空洞は「男爵薯」より少なく「農林1号」並の微です。打撲にあった場合の傷は「男爵薯」よりできやすく、「農林1号」並です。
 チップス、フライなど油で揚げたときの褐変は「農林1号」より多く、油加工適性は低い。
 休眠期間は、「男爵薯」より50日ほど長い極長です。貯蔵性に優れているのも消費者にとっては望ましい。
(5)栽培上の注意
1)栽培適応地帯は、北海道一円のそうか病発生地帯となっています。
2)しかし、ジャガイモシストセンチュウには抵抗性がないので、その汚染地帯には適していません。
3)強度のそうか病抵抗性を持っていますが、強汚染畑では罹病芋が見られます。
4)従来の品種に比べ休眠が極長く、出芽が遅い。
 このため、収穫した種いもは本貯蔵までの間25℃以下の暖かい所に置いて休眠期間の短縮に努めるとともに、貯蔵末期(3月上旬)からは10℃以上20℃を上限とする高温貯蔵を行って休眠明けを早めてやる必要があります。あまり早植えをねらわないほうがいい。
 1)いもが裂開することがありますので、過剰な施肥など急激な肥大を促進するような管理をしないようにします。
 
表  「ユキラシャ」と「男爵薯」の成績成績


     品種名
 
茎長

(cm)
枯凋期

(月日)
上いも重

(kg/10a)
 比

(%)
中いも
以上重
(kg/10a)
 比

(%)
澱粉価

(%)
平 均
一個重
 (g)

ユキラシャ
男爵薯
64
46
 9.10
 9. 7
 4,714
 4,459
 106
 100
4,120
3,805
 108
 100
15.6
15.0
  90
  92

ユキラシャ
男爵薯
59
42
 9. 1
 8.26
 3,266
 3,333
  98
 100
2,537
2,763
  92
 100
16.1
14.7
  72
  79

ユキラシャ
男爵薯
60
48
 9.10
 9. 4
 3,963
 4,251
  93
 100
3,415
3,747
  91
 100
17.0
15.4
  98
  94

ユキラシャ
男爵薯
59
41
 8.30
 8.28
 3,924
 4,384
  90
 100
3,286
3,948
 106
 100
15.6
13.9
  85
 103
 注) 平成10〜11年の平均。
 

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