(1)来 歴
北海道立根釧農業試験場において、平成3年、英国で育成された高品質多収の生食用品種「Pentland Dell」を母に、ジャガモシストセンチュウ抵抗性の早生の生食用品種「とうや」を父として交配し、以降、根釧農業試験場と北見農業試験場で選抜育成を加えてきたものです。
平成17年に北海道の優良品種に決まったものです。地方番号は「北育1号」、農林登録番号「ばれいしょ農林54号」です。2023年北海道の優良品種から削除されました。
(2)地上部特性
枯凋期は「男爵薯」よりやや遅い早生、初期生育は「男爵薯」と同様やや速です。
早期肥大性は「男爵薯」よりやや遅です。
そう性は中間型です。茎の長さはやや短い。花の数は少、花色は白、自然結果数は中です。Yモザイク病抵抗性は弱、疫病抵抗性は「男爵薯」が弱に対して強(真性抵抗性遺伝子R2と推定されています)
(3)地下部特性
いもの形は偏球、皮色は白黄、表皮の租滑は「男爵薯」並の中、日の深浅はやや浅、肉色は白です。ふく枝の長さは「男爵薯」の短に対し中、いも着生の深浅は「男爵薯」より深い中です。
いも数は「男爵薯」並、一個重は「男爵薯」よりやや軽く、収量は「男爵薯」よりやや少く、でん粉価は「男爵薯」よりやや高いです。
休眠期間は「男爵薯」と同様やや長です。褐色心腐は微、中心空洞は微、二次生長は微です。塊茎腐敗抵抗性は弱です。
ジャガイモシストセンチュウには抵抗性です。
(4)調理・加工特性
剥皮褐変は微、水煮調理後の肉質はやや粘、煮崩れは少、調理後黒変は徴、舌触りはやや滑らかです。
ポテトチップス及びフレンチフライの褐変は多いです。食味は中上で、用途は調理用です。
(5)栽培上の注意
除草剤「センコル」を植付け後に散布すると、薬害を生じる場合があります。疫病抵抗性遺伝子をもっていますが、耐性菌が出現する可能性があるため、「男爵薯」に準じた防除を行う必要があります。
栽植密度を疎植とすることで、規格内いも重を増やし、一個重を「男爵薯」並にすることが可能です。