黒色心腐(ぱんだ、あんこ)
英 名 Black heart
病 原 菌 生理病
発病部位 主に塊茎の中心部から発生します。
症 状
いもの中心部が不整形に黒っぽいかたまり状になっていることが多い。変色部の周縁は黒色ですが、内部はやや淡色で、稀に空洞を生じていこともあります。この変色郡は水分を失った状態となり、革質、ゴム質を呈していたりします。
変色部は主としていもの中心部に生ずるが、ときにはいも内に散在、あるしいは広く拡がり、また芽の部分にまで達していることもあります。
このような場合にはいもの外皮が褐変し、やや凹陥していたり、柔くなっていたりするが、普通外観からは判定が困難です。
なおいもを切断したときには異常がないが空気にさらさいた切断面が次第に淡かっ色から黒色に変じてくる場合もあります。
発生の誘因
高温状態におかれたいもが、呼吸作用を乱されて異常な生理現象をしめすために生ずるものですが、酸素欠乏のときに顕著です。また低温でも通気不良のときには発現することもあります。畑で収穫前のいもにも発生したり、貯蔵、輸送中のいもに発生したりする外、休眠が破れて呼吸作用がさかんになる春さきに見られやすい。
根釧農試、昭和53年の試験では、「男爵薯」は「メークイン」より発生しやすく、よく発生しやすい「農林1号」の例では、35℃2日で1割に発生し、40℃では1日で7割に発生した。外国の実検例では、40〜42℃で1〜2日、36℃で3日、あるいは27〜30℃で6〜12日たもっておくと発生するが、酸素を充分供給しているとこの発生がおさえられます。
いも内部はもともと酸素が不足になりやすいのですが、高温になると呼吸作用が刺激されてさかんになるので、一層酸素欠乏の状態になってしまいます。このため細胞の代謝が乱されて異常になり、細胞は死滅するようになりますが、酵素作用は破壊されないので、たとえばチロシナ一ゼが活動してチロシンをメラニン化するため黒変するようになります。(60℃以上の高温では酵素もこわされて変色することはない。加熱後放置してみられる水煮黒変とは発生メカニズムが違います)。浴光催芽などで高温下に経過したいもを種いもに使用すると、黒色心腐の有無に関係なく減収しますので、ハウスの裾を朝早めに開けてやるなどの注意が必要です。
防除法
@透明マルチは培土前にはがす。
A圃場では、培土を十分にやる。
B収穫後は、温度の上がりやすく、通気性の悪いシート類でコンテナなどを覆ったりしない。
C用途にもよりますが、できるだけ低く(生食用ではサツマイモより10度ほど低い温度で)保管する。
D貯蔵、輸送するときは空気の流通をよくし、過大量を堆積しない。
換気はいも1トンにつき、毎分約0.2立方メートル必要です。
E種いもの浴光催芽は20℃以下に心がける。
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黒色心腐(病)。
肉色の紅は品種「紅丸」の特徴であり、
障害ではありません