ポテトエッセイ第14話

葉のてんぷら【ジャガイモ博物館】

 時は1991年6月20日。特にこの日がとうのこうのということはないのですが、ラジオを聴きながら小豆畑の除草をしていたS君が、急にヴォリュウムを上げながら私のところにフッ跳んできました。聞くと、札幌は豊平区のある女性がジャガイモの葉をてんぷらにして食べることができると語っていました。かって、ジャガイモの葉を集め、それから心臓とかの薬をとるという話を聞いたことがありましたが、ジャガイモの葉を食べるというのは初耳でした。
 イモそのものは、緑になるとソラニンやチャコニンというアルカロイドが増え、食べれるものではありません。
 かって私は、ジャガイモの茎葉をサイレージにして牛に食べさせてみたことがありました。そのときの牛は絶対に食べませんでした。牛にはかって食べたことのない餌には口をつけたがらない習性があります。別の餌と混合して給与してもみましたが、舌を実に上手に使ってジャガイモ茎葉・サイレージのみを餌槽に残しました。そんな経験があるので、ジャガイモの葉を食べてみることは諦めていました。
 ジャガイモの葉は全国いたるところで入手可能ですが、これまでそれを食べた話は聞いていません。しかし、現実に食べている人がいるとなると、一度は口に入れてみなければなりません。その夕方ジャガイモ品種「伯爵」の葉を持ち帰り、てんぷらに揚げてもらってみました。葉はやや上部の柔そうなものとし、てんぷら粉には牛乳を使ってもらいましたが、カリッと揚がりくせのないもので、心配なく食べれました。その後何日間かソラニン中毒症状が現れることなく、すこぶるおすこやかに過ごしました。

美瑛町
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