ポテトエッセイ第32話
子供のおやつにはポテトチップスや粉ふきが喜ばれます。北海道を旅行した観光客にアンケ−トをお願いしたところ、人気のナンバーワンはジャガイモにバターをたっぷり塗り、熱いうちに食べたことだったそうです。
北海道産ジャガイモが粉を吹いておいしいのは、夏の気温が高すぎることなく、生育期間が十分あり、また生育中の日照が多く、さらに、昼と夜の気温の較差もあって、炭水化物の蓄積が多いためです。
梅雨の前に収穫しなければ、イモが腐る恐れのある暖かい地方では、完熟を待たないで収穫されるので、甘味は強いが、粉のふきかたが少なく、貯蔵性が劣ります。
粉ふき(水煮)ジャガイモをつくるには、皮をむいて、2つぐらいに切ります。「ワセシロ」のように、煮くずれしやすい品種では、電子レンジにするか、角の面とりをするか、水からゆでるのがよいでしょう。そのほうがイモの内外の温度差の関係で煮くずれが少なくてすみます。
また水を多くし過ぎないようにし、煮立ったら火力を落し、イモが鍋で踊ることのないようにします。中火で煮て、イモが白っぽく不透明になったら塩を入れ、さらに箸がス−ッと通るまで煮ます。鍋のゆで汁をきり、蓋をとって弱火で水分を蒸発させます。鍋を軽くゆすりながら火にかけ、粉がふいたら火を止めて出来上りです。
品種によって煮え上がりの時間に差がりますので、品種に応じて時間を選びます。違う品種を一緒に混ぜてはだめです。「男爵薯」に比べ「ワセシロ」は煮えやすいです。北海道産ジャガイモでは、1,2月ころが最も煮崩れが少なくなります。
「農林一号」や「紅丸」という品種では、煮た後少しすると、肉の一部が黒みを帯びることが多いでしょう。この「調理後黒変」は、イモの頂部よりも基部(ストロン付け根側)に多く発生します。この黒変が生ずる原因は、鉄イオンとクロロゲン酸の反応によって黒く着色した第2鉄化合物が形成されることにあるようですが、その外の要素も関係し、肥料の窒素分が多かったり、カリやりん酸分が少ないと発生が多いようです。また、貯蔵期間が長かったり、貯蔵温度が高い場合には発生が多くなります。この着色は非酵素的反応です。
いっぽう、煮る前、皮を剥いた時などに見られる肉の褐変はこれとは違って酵素的反応によります。つまり、チロシナーゼと呼ばれる酵素がチロシンというアミノ酸に働きかけ、空気中の酸素との結合を助けて、メラニンを作り出すものです。これはリンゴの皮をむいたときの反応に近く、ビタミンC(レモン汁)や食塩水を使うと酵素の働きを抑えます。また水につけると壊れた細胞のチロシナ−ゼが水に溶けていき、水が酸素の供給を抑えてくれますので、褐変しにくくなります。
【電子レンジ】
時間:電子レンジの出力ワット数によりかわりますが、普通ジャガイモ100グラムにつき約3分半。 目安:卵サイズが70グラムです。
やりかた:
皮付きのままよく洗います。
皮むきを楽にするため、予めジャガイモの胴に深さ1mm程度の切り込みを一周入れます。
水道蛇口から水をかけて すぐ、皿にのせ、チンします。
洗って直ぐの水つきなら、ラップしなくていいです。
コツは途中で上下を変えること。この時、残りの時間の見当をつけます。
皮は 熱いので 急がず剥いてやります。レンジに入れる前に胴周りを2,3mm
切っておくと後で剥けやすい。
縦に(頭からお尻に通して)切って、バターでも載せてたべてください。
茹でて皮むきを楽にするには、
包丁でジャガイモの胴に深さ1mmほどの浅い切り込みを一周入れます。
水からゆでます。芯が無くなるまでゆでます。
氷水を用意し、10秒ほど浸します。
両手で左右に分けるように軽く引っ張りますと、切り込みのところから皮が剥けてきます。