ポテトエッセイ第39話1991年

本格焼酎いろいろ【ジャガイモ博物館】
   いわゆる本格派焼酎ブームに乗りおくれまいと、昭和52年以降甲類業者が一味違った新製品も売り出しています。本格焼酎を中心に、甲乙混合など、二次仕込がジャガイモまたはジャガイモでん粉を原料とした焼酎をいくつか拾って、紹介しましょう。

○ きよさと(清里)、オホーツク、北緯44度
  北海道の清里町で、昭和54(1979)年から販売しています。全国でもめずらしく、自治体が直営工場をもっています。「きよさと」は芳醇で、爽やかな香りと冴えたコクが溶けあって、マイルドな旨味が舌に溶けるようなやや甘口の味わいをもっています。25度の「きよさと」からスタートし、昭和61年5月に新工場完成に合わせ35度の「オホーツク」、20度の「マイルドきよさと」も販売しました。また、土瓶の形をした「北緯44度」もだしています。これは最高の度数と町の緯度を示しています。「マイルド」の人気が高く、これはソフトで、ツンときません。これ単独で賞味するには風味がいいが、パーティーでは淡泊すぎて料理に位負けする、という人もいます。720ml 2,390円プラス税。本当のジャガイモ焼酎をロックやストレートで飲みたい人に向きます。
「浪漫倶楽部」は、ホワイトオーク(樽)に長期間保存し、ウイスキーのような琥珀色と香りを出したまろやかな本格焼酎(25%)です。値段もてごろです。この他イモ本来の旨みと香りを生かした濃厚な味の「斜里岳」や「斜里岳」をベースに割り水に摩周湖周辺の湧き水を使用して濃厚で爽やかな風味にした「神の子池」や「本格焼酎きよさと」と「浪漫倶楽部」のブレンドで20%に下げお得な価格の「摩周の雫」などもあります。
 これらの焼酎の原料となるジャガイモ品種は、北海道で「男爵薯」より栽培面積の多いコナフブキです。でん粉含有率が高い特徴があるものです

○ 伯 爵
 平成23(2011)年北海道の中標津町産「ワセシロ(伯爵)」を原料とし黒麹仕込みでつくられた本格焼酎がデビューした。企画は『伯爵』の商標登録をもつ中標津町農業協同組合。製造は北海道旭川市にある合同酒精株式会社旭川工場。伯爵を連想する色白720ml入り瓶、アルコール分25%。特有の臭いのする穀類原料の本格焼酎とは違うので、臭いのが嫌な北海道の女性でも飲めるもの。最初の口当たりがお酒のような感じがして飲みやすい。

○ 喜多里 
2006年10月、本格焼酎「喜多里」の生産拠点として全国的に有名なメークインの産地北海道厚沢部町に新工場が完成。この特産のジャガイモを原料に造られたのが「じゃがいも焼酎喜多里(きたさと)」です。マイルドですっきりした味わいの本格焼酎。同じく厚沢部町で栽培したさつまいも「コガネセンガン」で造った「本格芋焼酎喜多里」もあります。

○ じゃがたらお春 
 北海道につぐジャガイモ産地長崎県で豊富なジャガイモを厳選して平戸でつくっている良心的本格焼酎で、芳香の高さを売りものにしています。

○ はこだて夜景
 こちらは「男爵薯」発祥の地産の「男爵薯」を原料としているのがミソ、札幌酒精が醸造している25度の本格焼酎です。

○ さっぽろじゃがいも
 同じ札幌酒精が出している25度の本格焼酎です。720ml 840円プラス税金。

○ AFLA(あっふら)
 倶知安町、ニセコ町、真狩村で酒店を経営する4人が昭和60年グループ「ごもたらいも」(方言で、意味はどうしょうもないグータラ息子)を結成し、羊蹄山ろくでとれたアッフラ(アイヌ語でジャガイモをエモとか、アッフラと言う)でつくって売りだしたものです。甲乙混和の20度です。北の誉酒造が醸造し、エメラルドグリーンのしゃれた720ml瓶で売っています。

○ ひぐま
 こちらも同じ甲・乙混合で、同じ北の誉酒造のものです。

○ 北の侯爵
 名寄市知恵文産ジャガイモ「農林1号」を使った本格焼酎で、20度、旭川の合同酒精が醸造しています。上品な香りとまろやかさを平成2年から発売しています。

○ 男爵 
 合同酒精が昭和60年ころより醸造販売しています。甲乙混合のものから、黒丸カートン付きや特製美濃焼壷に入った「北海男爵」(25度)もあります。720ml 1580円プラス税。同社では「天春」というのも発売しています。

○ 十勝野、グレイス、北のしずく(現在非発売?)
 北海道帯広市にある農業団体・十勝農協連農産化学研究所が企画したものです。二次仕込原料には、評判の高い北海道産ジャガイモ品種「コナフブキ」のみが使われています。ジャガイモの香りがあり、ミルク焼酎などより香りが強く、ムギ原料に比べ辛くないものです。オンザロック、ライムレモンなどを添えた水割り、6・4か5・5のお湯割りなどのほか、ソバ屋出でてくるそば湯で割って飲むと、どぶろくか甘酒を思わす酒となります。
 「GRACE」(現在非発売?)はボトルを艶消しとして、女性の側が似合うものにしました。香りを抑え、すこし甘味がでています。20度で、価格が税込み630円と手ごろなため良く売れているようです。「十勝野」は男性向き、「GRACE」はグレイス・ケイリーのような女性に合いそうです。北海道で入手するにはJR帯広駅の売店、札幌駅前西部五番館地下2階の『酒蔵』、各デパートなどの外、ジャガイモ料理専門店『穀物祭』(札幌市豊平区中の島1の9)で「コナフブキ」とたのめばシャレたパームススタイルででてきます。
 この2つに加え、平成3年暮れ「北のしずく」が加わりました。原酒を3年間蔵で眠らせたもので、円熟味があります。35度ですがまろやかなで、通にお薦めしたい本格焼酎です。

○ 桜泉 
 十勝農協連企画の高級ジャガイモ焼酎「北のしずく」の製造元である宮崎県南郷町の井上酒造がつくっているもの。東京などで広く販売されています。

○ ビッグ ポテト 
 ワインや合成清酒で業界1位の三楽では、ホクレンのバレイショでん粉の消費拡大運動の一環として、原料がジャガイモでん粉100%の「BIG POTATO」を昭和63年から売り出しましたが、こちらは甲類焼酎です。 なお、ドイツから岡永が輸入の「古城」もジャガイモが原料ですが、「ビッグポテト」、「ワリッカ」、「純」などと同様な甲類です。


一口メモ : 酒類とプリン体

通風
とは"風が吹いても痛い!"と言われるほどの激痛を伴う病気。血液中の「尿酸値」が高い人は注意しましょう。女性でも肥満などが引き金になっています。
人はたくさんの細胞からできていて、細胞の中に 細胞の核を構成する「核酸」という大切な物質があります。核酸は分解されてプリン体ができます。プリン体は「ヒポキサンチン」という物質を経て「尿酸」になります。 このように分解された尿酸は最終的に体外に排泄されるという仕組みになっています。
 一般的にプリン体を多く摂取することが痛風の症状を悪化させると言われていました。
プリン体
は、シイタケ、鶏肉、イワシ、カツオ、マグロ、エビなどが多いことで知られており、酒類でプリン体の量の多いのはビールです。麦芽を使わない発泡酒はその数分の一、日本酒、ワインなども多くなく、焼酎にはほとんどありません。尿酸値を上げないためにはアルコール類の飲み過ぎにも注意する必要があります。

一口メモ : 焼酎ボンボン(清里焼酎)
 2011年7月12%の焼酎をあめにつめた「焼酎ボンボン」を発売した。20個入り500円。


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