ポテトエッセイ第50話

スフレ=これも偶然に誕生【ジャガイモ博物館】
 フレンチフライに似て、2度揚げするのに、ポンム・ド・テール・スフレがあります。フランスのレストランでロ−ストチキンに添えられて出てくることが多いものです。幅1.5cm、長さ4cmほど、厚さ3mmとし、2回揚げしないとできません。1回めは弱火で外を固め、2回めは強火とし膨らませるためです。この時、厚さを一定に切るのがコツです。
 このスフレも、ポテトチップ同様に、偶然に誕生したものです。
 1837年にパリーとサン・ジェルマン間の鉄道開通祝賀会に牛肉に添えてフレンチフライを出す予定でいたのが、到着時刻が遅れたのです。祝賀の時間に間に合うようジャガイモを油に入れましたが、あいにく列車が遅れるとの連絡をうけたコック長は処理に困りました。とりあえずジャガイモをすくい上げて待つことにしたのです。
 そして七月革命の後『市民の王』と言われていたルイ・フイリップとその王妃マリア・アメリアが、オ−ケストラの演奏とともに祝賀会場に姿を現したのを見てから、再びジャガイモを油の中に入れました。
 ところがシェフの心配をよそに、2度揚げされたジャガイモは、内部が中空になり、黄金色にふっくらと膨らみ、見た目もおいしそうにでき上がりました。
 王は、この柔らかいがカリカリと歯ごたえのある、凝った料理のお替わりを所望し、満座の人びとも、偶然の所産とも知らずに、滋養分に富む、初めてのスフレに賛辞を惜しみませんでした。
 この開通式は8月26日でしたが、この時期のジャガイモは、糖分が少なく、この2度揚げという芸当が成功しやすかったのでしょう。なお、このスフレとは、膨らますことを言いますが、マッシュした卵の白身、生クリ−ムを泡たてして膨らました前菜やお菓子をさすこともあります。
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