(1)来 歴
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター)において育成し、「インカパープル」より多収などとして平成16年北海道の優良品種としたものの、その2年後に育成した肉色紫でアントシウニンの多いの「シャドークイーン」をこれに変えて奨めることになった。
(2)地上部特性
茎長は「男爵薯」より長く、「インカパープル」より短いやや長、茎色は紫です。
枯凋期は「インカパープル」並〜少し早い中晩生です。
(3)地下部特性
いもの形は倒卵形で、皮色は紫です。日の探さは浅です。肉色は、一次色が紫、二次色が白、二次色の分布は斑紋です。
上いも重及び中以上いも重は「男爵薯」や「インカバープル」より多いです。上いも数は「男爵薯」より少なく、一個重は「男爵薯」及び「インカバープル」より大きいです。でん粉価は「男爵薯」より高く、中に属します。
ジャガイモシストセンチュウには抵抗性主働遺伝子Hlを有し、抵抗性を示します。
〈4)調理加工特性
水煮による煮崩れの程度は、「男爵薯」及び「インカバープル」よりも少ないです。調理後の肉質はやや粘です。ポテトチップス及びフレンチフライの褐変程度は「男爵薯」並の中です。食味は「男爵薯」より中で、用途は調理用です。アントシアニンの含有量は「イカンパープル」よりはいいが、「シャドークイーン」よりかなり劣る。
(5)栽培上の注意
肉色が紫のため、緑化などの見分けが難しいので、十分な培土と培土を崩さないような管理作業を行い、緑化させないようにします。また、休眠期間が比較的長く、頂芽優勢が強いため、頂芽の損傷により萌芽の不揃いが生じ易いので注意が必要です。
浴光催芽(育芽)には芽を伸ばしすぎないようにし、種いもの切断には注意します。
8月以降の生育後半に葉が巻くことがありますが、生理的なものであり、早期から激しい症状となる葉巻ウイルスの雁病株とは混同しないようにします。