ジャガイモ品種「マチルダ」(MATILDA)

男爵薯より美味しく、減農薬栽培可能。収穫や選別を乱暴にすると皮下に打撲黒斑が多くなりやすい。
(1)来 歴
 スウェーデンのスバロフ社が、「68/2144」に「Sv67108」を交配たものの中から1985年に育成したものをホクレンがわが国に導入した。原名は「Matilda」で、豊作や貴婦人の意味がある女性の名です。平成5年北海道の優良品種に決まりました。
(2)地上部特性
そう性は中間型で、茎長は、「農林1号」よりやや高く、「ムサマル」より低い。出芽及び開花期は遅いほうです。茎は緑色で、一部に紫色を帯びています。葉色は淡緑で、小葉の大きさは中です。花色は白で、花数は中、自然結果は「農林1号」程度みられます。
 枯凋期は「農林1号」並か少し遅く、乾燥した年など、条件によっては「紅丸」より早い中晩生です。
 疫病抵抗性遺伝子(RX)をもち、その地域で発生しているレースによってはかかり難いことがあります。しかし、平成10年ころから新しい菌が発生していますので注意が要ります。夏疫病には弱いほうです
 Yウイルスに抵抗性があり、Yウイルスの移行が少ない。ヨーロッパでは、塊茎維管束に褐変斑点を生ずるタバコ・ラットル・ウイルスにやや弱いとされております。
(3)地下部特性
塊茎は、卵球ないし卵で揃いはよい。皮色は黄、肉色は淡黄、目は浅く、表皮にすこしラセットがあります。
いも数型で、上いも重は「男爵薯」より多い。しかし、中いも重では「男爵薯」より低収です。澱粉価は「男爵薯」並ないしやや低く15〜16%程度です。
 そうか病、ジャガイモシストセンチュウに若干罹りやすい。わが国でまだ発生が確認されていない癌種病には免疫です。
いも数型で、いも数はかなり多い。ふく枝の長さは、「農林1号」より長めの中です。「男爵薯」より小粒なので、60g以上の中いも収量では劣っている。大きくなると二次生長が多くなりやすい。
休眠期間はやや長い。
(4)調理加工特性
 還元糖含有率が高く、油加工には向かないが、目が浅く、やや小粒なので、小粒冷凍ホールポテト、中粒は冷凍ベークドポテト向け冷凍などに適します。このように、本品種は、従来品質の劣る小粒くずいもを使うことの多かったホールポテト、サラダなどの分野に完熟小粒の供給をねらった、特徴のある品種と言えましょう。
【写真:打撲黒斑】 調理品質はやや粉質でかなり良好です。通常水煮黒変、煮崩れは見られません。剥皮褐変は「男爵薯」並み。乱暴に扱うと打撲黒斑が出やすいので、収穫は打撲の少ないハーベスタを使い、土のサラサラ乾燥を避け、地温の上がった午後の2,3時頃とし、何度も選別をかけないほうがいい。褐色心腐や二次生長は場所によってみられることがあります。
施肥のアンバランスによりテクスチュア(かみ心地)を下げたり水煮黒変を増やすことがあります。
(5)栽培上の注意
 海外において「マチルダ」は、地域適応性が非常に高いとされています。道内では十勝地方で主に栽培されています。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性をもたないので、同線虫の生息圃場での栽培を避けなければなりません。疫病の無防除では、罹病しますが、そこで発生しているレースによっては、その後の罹病の拡大が非常に遅い。「花標津」ほどの圃場抵抗性はないが、従来の品種に比べ防除回数を減らすことができましょう。
 一個重は栽植密度の影響をうけ、疎植では大きくなり、収量は多肥でやや増加の傾向にあり、澱粉価は多肥及び疎植によって低下することが少ない傾向にあります。しかし小粒完熟塊茎の生産をめざす場合は窒素の多用及び疎植を避けるのがよい。また、小粒を増やすためには、できれば大きめの全粒種薯を使うのが望ましい。
 貯蔵せず、直ちに加工する場合は、8月に早掘りすると、皮むけが容易です。

ロツテリアで売っていたり佐藤水産で、3〜5か月低温で貯蔵しサーモンフランクと組み合わせて『越冬じゃがいもとフランクセット』として販売しているのを見たことがあります。

Matildas(マチルダス)
「なでしこジャパン」の愛称は公募によって決められたものですが、「大和撫子」をイメージしたネーミングでありましょう。『日本代表』では男子のイメージが定着していますが、オーストラリア女子代表が「Matildas(マチルダス)」という愛称で親しまれていたことから、日本でも同様に愛称をつけてみるのがいいと2004年愛称募集され、2005年3月11日付けで登録された。さらに2004年新語・流行語大賞の候補60語にもノミネートされた。「なでしこジャパン」は2011年7月アメリカに勝ち、初優勝をなしとげました。

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『マチルダ』に多いポリフェノール



左:「マチルダ」の白い花。 中:「マチルダ」の塊茎。右:まちるだいすけ君ストラップ外

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