ジャガイモ品種

「ナツフブキ」(北育5号)

9月上旬の早掘りでは「コナフフキ」並の澱粉収量が得られるジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種。澱粉特性は「コナフブキ」並、Yウイルスに免疫ではない。
(1)来 歴
道立根釧農試(中標津町)において、平成4年、線虫抵抗性の「ムサマル」を母、線虫抵抗性で高でん粉系統の「島系544号」を父として交配し、選抜を加え、平成12年に「北育5号」の地方番号を付与後、道内各農業試験場などで生産力、適応性などを見てきた。
平成15年北海道の奨励品種となり、同年9月「ナツフブキ」(農林47号)として命名登録されました。 2023年北海道の優良品種から削除されました。
(2)地上部特性
 萌芽期は「コナフブキ」なみ、初期生育はやや速いが、開花期は5日ほど遅い。
枯凋期は「コナフブキ」より約1週間早い。
 分枝数は「コナフブキ」よりやや少なめで、そう性はやや開張します。茎長や茎の太さは「コナフブキ」並です。葉色は「コナフブキ」よりやや淡く、小葉は少し大きめ、花の大きさは差がなく、数は少なく、色は赤紫系で先は白い。自然結果数は少ない。


(3)地下部特性
いも数は「コナフブキ」並、肥大はやや速いが、最終的には「コナフブキ」程度になる。
 塊茎は球形で、皮色は「コナフブキ」より濃めの黄褐、肉色は白です。目は「コナフブキ」より若干深く中。
 ふく枝の長さは「コナフブキ」より短く、いも着生の深浅は同程度。粒揃いは「コナフブキ」程度。
 いも数は「コナフブキ」並〜やや少なく、最終の平均一個重は「コナフブキ」並。 いもの肥大は速く、9月5日で約100gに達し、その収量は「コナフブキ」並で「アーリースターチ」より多い。この時点のでん粉価は「コナフフキ」よりやや高い。
 早掘りのでん粉収量では「アーリースターチ」や「コナフブキ」より勝るが、最終でん粉収量では、でん粉価が「コナフブキ」より0.5%ほど低く、収量もやや劣るため「コナフブキ」より劣る。
 褐色心腐は「コナフブキ」より多く、「紅丸」、「アーリースターチ」並。 中心空洞は「コナフブキ」より多い少〜微発生で、二次生長は「コナフブキ」より少ない微発生。
休眠は「コナフブキ」よりやや短い中。
 疫病抵抗性主導遺伝子R1をもっているが、圃場抵抗性はなく、「コナフブキ」並ないしやや弱く推移します。塊茎腐敗には「コナフブキ」なみ、そうか病には「コナフブキ」並に弱い。粉状そうか病には「コナフブキ」より弱めの中、Yモザイク病抵抗性には弱い。
 ジャガイモシストセンチュウに抵抗性です。
 澱粉の品質はほぼ「コナフブキ」なみです。つまり灰分、りん含有は「コナフブキ」と同程度で、「紅丸」より多く、粒径、白度、糊化開始温度は「コナフブキ」程度。離水率は「コナフブキ」と同等かやや高めで、「紅丸」より高い。糊化時の最高粘度、ブレークダウン等は「コナフブキ」と同様です。

(4)栽培上の注意
 線虫発生畑での、秋まき小麦の前作に好適です。
 9月下旬以降に収穫すると、でん粉収量は「コナフブキ」より劣るので、9月上旬の収穫を目標として、浴光催芽、浅植え、早期中耕・仮培土・本培土等により生育促進をはかります。
 多肥・密植で増加する傾向がありますが、「コナフブキ」ほど増収効果は高くありません。疎植や欠株を避けるようにします。
褐色心腐の発生が多いので、培土などの栽培管理に留意します。


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