ラシット・バーバンク(ラセット・バーバンク)

***RUSSET BURBANK***

アメリカの古い品種です。1910年前後に「BURBANK」(バーバンク)の芽条変異で生まれたものです。別名が多く、「Idaho Russet」「Netted Gem」などの異名もあります。
 中生で、葉色はやや淡く、花は白い。塊茎の形は長円筒ないし長卵で、やや扁平。色は写真のような褐色系。
 アメリカではかなり大きくなり、その冷凍フレンチフライが我が国に輸入されています。 米国での作付は1965以降ランク1位が長く続きました。
 目(くぼみ)は浅く、淡い赤みがあり、外はかなりザラザラ(ラシットRusset、ネットNetted)しています。アメリカでは日本ほど外見に拘らないので、4分の3はラシット(ラセット)のある丈夫な品種で占められております。肉は白い。
 用途が広く、長いフレンチフライ(アメリカン)にも向くので、人気が高い(日本の「男爵薯」、オランダやスペインの「ビンチ(ェ)」のように息が長い品種)。アイダホ州では9割以上を占め(1995年には83%に低下)、オレゴン、ワシントン、コロラド州などでも人気が高い。
排水のよい土地に適し、環境の違う日本で栽培してみると、「男爵薯」に比べ、枯凋期は約1週間遅く、単収はほぼ同じ程度と低く、大きさもほぼ同じで、澱粉価は同等ないし若干高めとなります。つまり「トヨシロ」に比べて収量形質は劣っています。

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 原種「Burbank」について
 昔アメリカでリンカーンが奴隷解放をなしとげた1863年ころ、ダーウィンの「進化論」を読み、親ジャガイモと別のジャガイモを手に入れようとしていたルーサー・バーバンクという13歳の少年がいました。1851年に南米チリからアメリカに導入されていたジャガイモ「アーリーローズ」がありましたが、めずらしく果実がなっているのを見つけた。その中に入っている種(真正種子True Potato Seeds)23粒を植えて育てた兄弟ジャガイモ達の中から皮は褐色、肉は黄白で多収なものを選抜したのが「Burbank」という品種です。
 ルーサー・バーバンクは、優れたこのジャガイモを見つけて、種子屋さんに使わせて許諾料をもらってから西部のカルフォルニアに移り、その後トゲ無しサボテンとかりんご、ぶどうなどの作物の外アザミ、バラなどの花の改良も行い、人びとから『植物の魔術師』と呼ばれるようになりました。
1914年コロラド州の農夫がこれを栽培していたところ、褐色系(ラセット)皮のものがあることを見つけ、「ラセット・バ−バンク」と名付けて広めようとした。これが徐々に広まり、現在に至っています。

米国産ラシット・バーバンクで大きく、フレンチフライに向きます

 環境の違うわが国で栽培すると、このように大きくはなりません。次のように反収も低下してしまいます。
品種名茎長
(cm)
枯凋期
(月日)
収 量
(kg/10a)

(%)
株当
芋数(個)
澱粉価
(%)
一個重
(g)
男爵薯599. 72613627.213.693
Rバーバンク679.152585627.314.088
ビンチェ659.2235758511.414.681
紅 丸7410月上41951009.016.6118
注)道立根釧農試。品種保存圃 昭和53-56年平均。
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