ジャガイモの 絵 画 と 写  真

         
1.ジャン・フランソワ・ミレー(Jean-Francois Millet)  (1814-1875)
「晩鐘」The Angelusは,有名な「落穂拾い」などの農民の生活風景を描き続けた19世紀フランスの農民画家ミレーによる1855〜1857(安政2〜安政4)年頃の油彩作品。バルビゾンの夕暮れのジャガイモ畑で,教会から聞こえてくるアンジェラスの鐘に合わせて農民夫婦がジャガイモ収穫の手を休め祈りを捧げているもの。農民画でありながら信仰心の深さを表現している絵画。”アンジェラス”とは,”エンジェル”,”神の言葉を伝える天使ガブリエル”の意。
落穂なり、ジャガイモの少し悪い小さめのものを拾うのは貧しいからではなく、まだ生かせられるもの、「もったいない」ものと考えているのでしよう。
「ジャガイモを植える人」Potato Plantersは,1861(文久1)年頃の油絵作品。現在,二つともフランスのオルセー美術館所蔵。農家の夫婦がジャガイモの植付け作業をしている様子を描いています。ミレーは1814(文化11)年フランスノルマンディー地方の農村に生まれ,家族を持ってからバルビゾンに引っ越し,自ら農業をしつつ,農民画を描いていた。引っ越した翌年画いたボストン所蔵のものよりより躍動感があり、彼の納得した作品となった「種をまく人」は山梨県立美術館にあります。自然主義派(バルビゾン派)の多くは風景に力を入れ,人物も風景の一部として描いた。しかし,ミレーは逆で人物を見せ,人物を立体的・効果的に表現するため,順光を避けて逆光とし,背景をあまり強く描き込まないのを特徴としていました。
1885 ミレー「ジャガイモを掘る農婦」

2.ヴィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van  Gogh,1853-1890年)
「ジャガイモを食べる人々」The Potato Eatersは,後期印象派に属する画家ゴッボが1885(明治18)年オランダのニューネン在住時に描いた作品。アムステルダムのゴッホ美術館所蔵。画家としてのキャリアの初期の頃の作品です。一日の仕事を終え帽子をかぶったままのまずしい農民が,自ら収穫してきたジャガイモをランプの下で1つの皿に盛って家族で食べている風景,つまり,いわゆる「同じ釜の飯を食った仲」を描いたもの。
 後日この絵のモデルとなった女性のひとりが妊娠していることが知られました。その父親がゴッホではないか、と疑われたため。ニューネンの牧師はゴッホのモデルになってはダメと勧告したと言う話もあります。  ニューネン在住の期間に制作された作品の作風から,ゴッホの「暗黒の時代」とか「薄闇の時代」などと称されることがあるが,その時代を代表する作品とも言われる。後期の作品の“ひまわり”の感じとは違います。同年,籠に盛られたジャガイモの絵(Basket with potatoes,1885)も画いています。37歳で亡くなるまで,自身を燃焼し尽くすまで描き続け,その主観的,表現的な傾向は,20世紀の表現主義,フォービスム(野獣派)のもっとも影響力の多い原点となったと言われています。


ジャガイモを植える農夫たち。ジャガイモの植付け
1884年クレラー・ミュラー美術館。同年フォン・デア・ハイト美術館

「ジャガイモを植える農民の男女」「ジャガイモのある静物」
1885「ジャガイモのある静物」
1885「ジャガイモの皮をむく農婦」、1885「ジャガイモを掘り上げる女性」(試作か?顔が小さく、手と木靴が大きい)

ジャガイモの収穫。1855年。ウォルターズ美術館所蔵。ジャガイモを掘る2人の農婦。1885年。クレラー=ミュラー美術館所蔵。
*ポテトエッセイ29:一味同心、イモダチ*
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左図:ゴッホの死後イスラエルスが画いたもの。
陶器の器とジャガイモのある静物

3.ダニエル・マクドナルド Daniel McDonald 
 アイルランドの画家。1852年ころ「ジャガイモ疫病の発見」を描いた。
4.歌川国芳
 1855年の木版画。農家の下男がジャガイモ泥棒の「イノシシ」を追い払っているもの。
江戸時代末期の浮世絵師(1798〜1861年)。画想の豊かさ、斬新なデザイン力、奇想天外なアイデア、
確実なデッサン力を持ち、浮世絵の枠にとどまらない広範な魅力を持つ作品を多数生み出した。

5.ジャコブ・カミーユ・ピサロ Jacob Lamille Pissarro
 カリブ海にあるセント・トマス生まれ(1830〜1903年)、農民や労働する人々の姿、すなわち農村風景を好んで描いたフランス印象派の巨匠。「ジャガイモの収穫」(1874年)。

6.ロベルト・ヴァルトミューラーRobert Warthmuller  
 1886年ロベルト・ヴァルトミュラーが「Der Konig uberall」(「王はあらゆるところに」(「ジャガイモ畑の王」別名「王様 の巡回(農村を見回るフリードリヒ大王)」)と題し、ドイツにジャガイモを広めた第3代プロイセン王の視察を描いた。
7.ウイリアム・ローゼンステインWilliam Rothenstein  
 イギリスの画家。1917年。「ジャガイモの植え付け」(Potato Planting)。Nationa Gallery of Canada。


8.ジョアン・ミロ(カスティーリャ語式の読みではホアン・ミロ)Joan Miro 
 20世紀のスペインの画家。バルセロナ生まれ、ガウディ、ダリと同じカタルーニャ地方の出身(1893 - 1983)。1917年に「ヌビオラの肖像」、1921年に「スペインの踊り子」、1924-525年に「カタルーニャの農夫の頭」などを残し、1928年に抽象と具象のあいだのような「ジャガイモ」を画いた。ミロは人物、鳥などを激しくデフォルメした有機的な形態、原色を基調にした激しい色を使って画き、あふれる生命感などは、古典的・写実的描法を用いることで知られています。1925年の作品で、パイプを吸う人の横顔と黄色い煙をデフォルメして画いた「パイプを吸う男」は富山県立近代美術館に所蔵されています。

9.藤田 嗣治

 藤田 嗣治(レオナール・ツグハル・フジタ、1886-1968)は、日本生まれのフランスの画家・彫刻家。1886年(明治19年)、東京市牛込区(現在の東京都新宿区)新小川町の医者の家に4人兄弟の末っ子として生まれた。1913年(大正2年)に渡仏し、パリで活動、猫と女を意な画題とし、日本画の技法を油彩画に取り入れつつ、独自の「乳白色の肌」とよばれた裸婦像などは西洋画壇の絶賛を浴びた。エコール・ド・パリの代表的な画家である。自由さ、奔放さに魅せられ、黒田清輝流の印象派の絵は本当の洋画ではないと考えた。  なお、父・藤田嗣章(つぐあきら)(1854 - 1941年)は、大学東校(東京大学医学部の前身)で医学を学んだ後、軍医として台湾や朝鮮などの外地衛生行政に携り、森鴎外の後任として最高位の陸軍軍医総監(中将相当)にまで昇進した人。
白米で沢山の兵士を殺した陸軍の森鴎外、殺さなかった海軍の高木兼寛。へ行く

「ジャガイモの皮をむく女の子」。1960年制作。技法:鉛筆と木炭デッサン。サイズ:21.7x15.6cm。

「ジャガイモをむく少女」。油彩。サイズ:35X27.4cm。

10.アルバート・アンカー(Albert Anker)


「コーヒー、パン、ジャガイモのある静物」(Stil-Life: Coffee and Potatoes)。1986年、油絵。

「静物:コーヒーとジャガイモ」(Stil-Life with Coffee,Bread and Potatoes)。1987年、油絵。

付 写 真

「Potato #345」と言うジャガイモアート(2010年・写真)。アイルランドのアーティストケビン・アボッシュ(Kevin Abosch)の作品。これが2016年パリの自宅で、匿名の裕福なビジネスマンの目に止まり100万ユーロ(およそ1億3,000万円)もの値段で購入されて、話題になった。
 被写体はアイルランドで有機栽培されたものを正面からシンプルな構図で撮影した作品。一見綺麗なものではないが、自然で奥深いものであり、露出は適正で、絵画では描き難い描写力のあるもの。背景は人物写真のように黒くしたシンプルな作品。ケビン・アボッシュの作品はこれまでに「ヴォーグ」などの雑誌の表紙を飾り、アイルランド国立美術館にいくつか展示されている。彼の作品は通常2000万円程度で取引されていて、主な顧客は有名人やシリコンバレーで活躍する社長だという。この販売価格は彼の最高値を記録した。


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