Q 海外からは生のジャガイモが輸入されているのですか、真正種子(たね)で輸入されるのですか?
海外には、日本で未発生の各種線虫(シロシストセンチュウなど)、癌腫病、やせいも病などが発生していますので、"生いもの輸入は制限されています"。
家畜の伝染病の場合は、1頭1頭目視なり、検査が容易ですが、ジャガイモの線虫の例では、畑が汚染れますと、それが判るまでかなりの年数がかかり、発見されたとしても、さらに、それに強く実用的にも優れた品種の育成には20年ほどもかかるなど、国家的損失が非常に大きい。
このため、汚染土壌に植えられたことのない真正種子がいいように、思われるでしょうが、ジャガイモは自殖することなく塊茎という栄養繁殖で増えてきたため、遺伝的には非常に雑ぱく(heterozygous)でもかまわなかったので、
真正種子から得られる実生苗は、(異品種どうしを交配したものでなくても)どれも元の品種とは性質が違って分離します。このため、通常の出回りを目的に真正種子を輸入することはしていません”。
このように、すぐ農家が栽培できるジャガイモは輸入れることはありません。マクドナルドなどのフレンチフライは”生ではなく、冷凍された状態”で日本に入ってきます。
農業試験場などで、優れた外国品種を輸入するときは、生塊茎か試験管内で培養した植物片などを輸入しています。
その際、事前に品種数や一品種あたりの個数、輸入形態(塊茎か試験管かなど)、日本への輸送方法などを記した”輸入許可申請書”を書いて、横浜か門司の植物防疫所を通じて農林水産大臣の許可を得てから輸入することになります(品種数や個数が事前の申請から変更になった場合には、変更届が必要)。
そして、生いもなどが日本に着くと、すべて横浜植物防疫所の神奈川県にある大和圃場で検疫栽培して、日本で未発生の病害虫をチェックされ、ウイルスなどが見つかれば原則として廃棄処分となります。この検疫栽培のキャパシティのため、多量の品種の導入は許されません。
関連法律等
○植物防疫法
輸出入植物の検疫、発生予察事業のことなどに関係ある法律。植物防疫所(植物防疫官)は「種馬鈴しょ検査実務要領」により、種いもの検査を実施しています。
○北海道種馬鈴しょ生産販売取締条例...<集荷販売業者の登録のことなど>
○北海道種馬鈴しょ生産販売取締条例施行規則...<登録生産者のことなど>
○農産物検査法
○馬鈴しょ生産管理基準
このホームページは官庁の広報担当ではありませんので、法律などの中身についての問い合わせをいただいても、返事は書きません。関連官庁としては横浜植物防疫所 札幌支所 TEL:011-852-1808があります。