ジャガイモの出てくる 映 画  第5集

*                  浅間和夫
48.『かもめ食堂』 
2006年。邦画。監督:荻上直子。
 原作者は群ようこ。食材、料理、食べ物が中心となるめずらしい映画。
 サチエ(小林聡美)はフィンランドの首都ヘルシンキにて、地元の新鮮な素材で作る料理を提供する「かもめ食堂」を開いた。白と水色を基調としたあたたかい木のぬくもりの北欧風の店としたものの、近所の人々からは小さい人のおかしな店と敬遠され、客は全く来ない。
 そんな折、食堂にやってきた日本かぶれの青年・トンミからガッチャマンの歌の歌詞を聞かれ、思い出せず悶々としていたサチエは、町の書店で背の高い日本人女性・ミドリ(片桐はいり)を見かける。意を決して「ガッチャマンの歌詞を教えて下さい」と話しかけてみたところ、即座に全歌詞を書き上げてくれた。ミドリは、旅をしようと世界地図の前で目をつぶり、指した所がフィンランドだったという。、サチエは、彼女を家に招き入れ、やがて食堂で働いてもらうことになる。
サチエがみどりを自宅に招いたときなど、夕飯に花模様の器に入れた肉じゃが登場する(写真)。
ミドリは食堂を繁盛させようと様々なアイデアを出すが、一方でサチエはかもめ食堂のメインはあくまで「おにぎり」であるというポリシーを持っており、譲らない。だが、ある日思い立ってシナモンロールを焼くと、いつも遠巻きに見ていた主婦たちがその匂いに釣られて来店し、その日を境に少しずつ客が入るようになる。
 そんなある日、マサコ(もたいまさこ)という日本人旅行者がかもめ食堂を訪れる。マサコは介護していた両親が亡くなった後、ある時ふと目にしたテレビでフィンランドのエアギター選手権を知り、おおらかな国民性に惹かれてフィンランドまでやって来たのだった。空港で荷物を紛失して足止めを受けていたマサコは、荷物が見つかるまでの間、観光をしながらかもめ食堂へ度々来店し、そのうち食堂を手伝うようになる。
 本作品は、実際に存在する現地の食堂・カハヴィラ スオミ(Kahvila SUOMI)を「かもめ食堂」として使用した。現在(2018年)もラヴィントラ カモメ(Ravintola Kamome)として実在し、日本人観光客の少ないフィンランドにおいて日本人の集中する観光スポットとなっている。また、フィンランド政府観光局が撮影協力したため、マリメッコやイッタラなど、フィンランド企業の商品がプロダクト・プレイスメントとして多く登場する。
 2016年4月になり、映画『かもめ食堂』の撮影が行われたまさにその場所で、「RavintolaKAMOME(ラヴィントラかもめ)」というレストランがオープンした。

『おふくろの味』と言う言葉が使われ始めたのは、太平洋戦争後の復興が落ち着き、田舎から都会に集団就職などで移動してきてからであろう。手作り料理を指すが、煮物、味噌汁、漬け物、コロッケ、おはぎなどいろいろあるが、『肉じゃが』に落ち着く人が多いようだ。

49.『カレーライス』 別 題. Curry Rice
 1962年。邦画。 監督:渡辺祐介。出演:江原真二郎(桜田六助)、不忍郷子(桜田よね) 、大空真弓(鶴見千鶴子)、チャコ・ヴァン・リューウェン。
 原作は阿川弘之の「雁の寺」。蕎麦屋の二階に間借りする百合書房はあれこれ頑張っても赤字から脱却できず、ついに倒産。失業した編集員に桜田六助と鶴見千鶴子がいたが、男まさりの千鶴子は『ありがとう』というカレーライス屋を開店することにした喜劇的脱サラ映画。
 コック見習いで腕を磨いてきた六助は百合書房の面々はもちろん下宿のおばさんをはじめ千鶴子の両親の応援をとり開店にこぎ着ける。千鶴子にふられた唐子小路が腹いせに与太者を連れて店に乗り込んできて滅茶苦茶にされてしまう。しかしガラクタの中で、新規巻返しを誓う六助と千鶴子の顔は、晴れやかに輝くのだった...。
 日本にカレーが伝わったのは、江戸時代末期の開港以降であり、ライスカレー(当時の表記はタイスカレイ)が北海道開拓使東京事務所で御雇い外国人ホーレス・ケプロンらの食卓に出されたのは1872年(明治5年)のこと(写真:開拓使の公文書『明治五年 開拓使公文録 八』、昼食にタイスカレイ(Rice Curry)やホイロホテイト(Boiled Potatoes)、夕食にフライホテト(Fried Potatoes)とある。これにジャガイモが入っていたかどうかは書かれていない。当時の北海道はコメはできず、ジャガイモ(五升芋)はできた。ジャガイモはエゾシカの肉とともにでてきたのかもしれない。五升芋・馬鈴薯の呼び名がジャガイモに替わるころになってライスカレーがカレーライスへと替わっていった。
 小菅桂子著「カレーライスの誕生」(講談社)によると、1896年(明治29年)、カレーの材料として「芋」が登場する。1903年(明治36年)には雑誌に作り方が出ており、「わさびおろしですりおろす」とある。レシピには小麦粉はなく、ジャガイモでとろみを付けていたようだ。北海道で「芋」と言えばジャガイモ。今もカレーライスは学校給食の人気メユーのひとつだ。そして「カレー三種の神器」と言えばジャガイモ、タマネギ、ニンジン。ジャガイモが入っている確率は高い。
 ホクレン農業協同組合連合会などが2012年に立ち上げた「じゃがい問題研究所」。ジャーナリストの鳥越俊太郎氏が所長を務める研究所が1000人の男女に尋ねたところ、95%が「カレーにジャガイモが入っていてほしい」と答えたそうだ。

50.『ライスカレー』(テレビドラマ) 
 1986年にフジテレビ系の木曜劇場枠で放映されたテレビドラマ。放送期間は1986年4月3日から6月26日まで。全13話。
 「カレーライス」と「ライスカレー」の違いが、このドラマの初回の冒頭部分で語られている。両者を区別する明確な定義は存在しないが、北海道では開拓期からライスカレーが一般的に使われ、少なくとも五升芋、馬鈴薯時代はこれであったが、ジャガイモの呼び名が広く普及するようになりカレーライスの名も広まった。
このドラマの独断的「ライスカレー」の定義はウィキペディアによりますと、 御飯の上に粘度の高いカレーソースが乗っている。口直しとして福神漬とラッキョウが添えられている。スプーンは水の入ったコップに刺さった形で供される。具のジャガイモや人参は大き目のものが入っており、飾りとしてグリーンピースが3つ上に乗っている。冷めてくると、カレーソースの上に膜が張る...。だそうです。だからライスと具が別々に出されるものは明らかにカレーライスだ。
高校野球部の同期3人、投手だったケン( 時任三郎)、アキラ( 陣内孝則)、ブンタは、カナダで寿司屋の板前をしている飯塚次郎から、ライスカレー屋を始めるからカナダに来いと誘いを受ける。 ケンとアキラは次郎を頼って2人でカナダに行くが、肝心の次郎は寿司屋のオーナーの妻と駆け落ちしていなくなってしまった。英語も分からず土地勘もないカナダに放り出されながらも、いろんな人に出会い、さまざまな出来事に翻弄されながら、それぞれの夢を求めて歩くケンとアキラの2人の奮闘が描かれる。

51.『黄色いライスカレー』 
 2009年。邦画。作ったのは、「オトナ映画部」監督をはじめスタッフもほぼ全員が別の仕事を持ち、「自分たちの映画を作りたい」という1つの思いで集まった人たち。
 原作は同名の小説。河北新報に「沙棗 義経になった男」を連載中の岩手の作家・平谷美樹が、自身の短編を脚色したもの。上映は東北から始められた。
不況の最中、リストラされた中年男、平沢は、ハローワークの帰り道、城跡公園でパンと牛乳の昼食に嘆息をつく。そして不思議な街に迷い込む。そこは、幼い頃今は亡き親と暮らした「悲惨な想い出」のある街であった。そう平沢は懐かしい昭和40年代にタイムスリップしてしまったのだ。この時代をイメージする家庭料理と言えば黄色い「ライスカレー」。「スープカレー」などではない。すべての映画物語には結末があります。それが感動的なほうがいい。 上映時間は1時間弱のこの映画では...。
 「黄色いカレーライス」はこの時代を表す食べ物で主人公が食べるシーンがポイントになっています。美しく懐かしい映像とともに、あの「ライスカレー」のように心を温めてくれる映画でした。家族お揃いで幸福感に浸っていただけそうな映画です。
 北海道発祥のカレーと言えば、スープカレーがありますが、クリームソースをベースとしたホワイトカレーもあります。北海道日本ハムファイターズの本拠地である札幌ドーム内の売店で販売が始まり、「白星」を願う人に人気がある。

52.『カレーライスの女たち』 Every Japanese Woman Cooks Her Own Curry
制作2003年、公開2006年。邦画。 監督:松江哲明。出演:松江哲明ほか 。
 松江監督が、ポルノ女優、女友達、彼女という3人の知人女性宅にカレーライスをご馳走になるために訪問し、2日目を味あうために、彼女たちと共にひと晩を過ごすドキュメンタリー?(やらせか演出か記録映画か、皆さんの判断におまかせしましよう)。ただそれだけの話だが元ポルノを撮った監督だけに。女の子への憧れや恋愛と性に対する甘酸っぱい期待を抱かせる狙いがあったのかも知れない。絡みよりも危うい男女の距離感に30分ドキドキするのもよいかも。
(Last modified : Sept,10, 2013)

53.『銀河鉄道の夜』  I carry a ticket of eternity :Nokto de la Galaktia Fervojo
1985年。邦画。監督:杉井ギサブロー。
 宮沢賢治の同名代表作童話のひとつを「アタゴオル」シリーズや「コスモス楽園記」など猫からみの漫画で知られるますむらひろしの漫画「賢治」シリーズをもとに劇場用にアニメ化したもの。脚本は別所実が担当し、登場人物すべてを大胆に猫キャラに設定している。見事な情景描写の中に、シンボリックで幻想的な賢治の世界を再現した。
 ジョバンニは、父が漁から戻らないので仲間にからかわれ、朝夕に仕事があるため遊びにも勉強にも身が入らない。彼は周りから疎外され、あたかも幽霊のような存在として描かれている。そのジョバンニが、友人カムパネルラと銀河鉄道の旅をする物語。
 ジョバンニが帰宅してトマトのスープを食べるシーンがあります。そのスープは赤くとろりと濃厚な感じで、私の喜ぶジャガイモが入っていた。
 そのレシピはthe_road_overさんによると、2リットルの鍋に顆粒コンソメ大匙1〜2くらい、ローリエ1枚、ニンニク1かけ、8つ切りのジャガイモを入れ、ヒタヒタの水を入れて茹で、ジャガイモに火が通り、水分が半分以上減った状態で100%のトマトジュース、8つ割のカブ、大匙1杯のトマトペーストと砂糖を入れて、ひと煮立ちして最後に塩とコショウで調味。ベーコンやソーセージを入れた方が食べやすいそうです。

54.『わたし出すわ』 
2009年。邦画。監督:森田芳光。出演:山吹摩耶(小雪)、魚住サキ(黒谷友香)、道上保(井坂俊哉)、川上孝(山中崇)、保利満(小澤征悦)
『椿三十郎』など話題作を次々に送り出してきた森田芳光監督によるお金の使い方をテーマにした映画。
 東京から故郷函館へと戻ってきた山吹摩耶。ある日市電に乗った摩耶は、偶然にも高校時代の同級生・道上保と再会する。学生時代から路面電車に関心を持った彼に女神の様な顔の摩耶が世界の電車めぐりの資金をポンと出してやる。次々と高校時代世話になった同級生の夢をかなえるための資金を惜しげもなく提供していくという先の読めない不思議な映画。
 ロケはほぼ全て北海道函館市で行われ、某研究機関の研究員がエキストラとして養魚試験場研究員の役をこなしたりもした。
川上家にサキの夫の通夜の帰りに摩耶が立ち寄り、特徴ある三平皿で郷土料理の三平汁を食べるシーンがあります。
 三平皿とは直径約15cm、高さ約4cm、深さ約3cmの深めの古伊万里の色皿で、豚汁などを入れてもいい。
 北海道の三平汁は、、春は鱈、夏は鰊、秋は鮭、冬はホッケにその季節の山菜、野菜を加えた料理で、味付けに酒粕を入れたものもあります。塩鮭や鮭のあらとジャガイモ、カボチャ、ニンジン、ダイコンの組み合わせが多いようです。幕末の奇才で三平汁の元祖?とも言われる岩手県出身の斉藤三平は、晩年箱館奉行の知遇を得て北海道に渡り、箱館通宝(鉄銭)の鋳造を手がけたりした。三平墓地は北斗町上磯町にあります。

55.『いもと男爵と蒸気自動車』 (テレビドラマ)
 1979年。NHKのテレビドラマ。ディレクター:伊丹政太郎。主演:愛川欣也(川田龍吉)
 「男爵薯」、今北海道で片栗粉専用品種の「コナフブキ」についで広く栽培されているもの。ジャガイモの別名と思っている人もいる。この品種をかって留学していたスコットランドの造船の最先進地グラスゴーから輸入し、普及のきっかけをつくったのが川田龍吉。彼の生涯をテレビドラマ化したもの。
 父の川田小一郎(三菱創立、後に日銀総裁)にしたがって土佐から東京に出て慶応義塾に入学するが、造船技術を学ぶために渡欧する。帰国後、横浜のドックをつくり(現在のランドマークタワーのそばの日本丸を係留しているドック)、その後1899年渋沢栄一の指名で函館ドックの再建のため北海道に渡った。日露戦争後配当を可能にしたものの1907年には一部が函館大火に遭遇し苦労が続く。園芸にも関心があったので函館近郊の七飯町に農場もつくる。そして1908年「男爵薯」こと「Irish Cobbler」を導入する。
【左 男爵の自家用車】  ドラマで愛川欣也がアメリカ製蒸気自動車ロコモビルスタイル・2・スタンダードに乗って走ったのが忘れられません。この車は川田が横浜時代(1901年)に貿易商から2,500円で購入したもの。これで日本初のオーナードライバーになり、マイカー通勤の元祖となった。
このロコモビルは、のち函館に持ち込み、市内の自宅と男爵薯の農場があった七飯との間の往来などに使用した。この道は今の国道5号線で、薯判官こと湯池定基らの植えたアカマツ並木で知られています。現在この車は北斗市当別の男爵資料館に展示されています。
 ロコモビルの燃料はナフサで、ボイラーで蒸気を発生させて走るもの。出力は3〜4馬力、速度は20〜40km/h。故障して長い間農場倉庫に放置されていたが1978年NHK札幌の伊丹政太郎の目にとまり、東京工業大学一色尚次教授の協力を得て愛川が乗れるまで復元してドラマのシーンに活かした。(Sept,2013)


56.『ブリキの太鼓』  Die Blechtrommel、英訳:The Tin Drum
 1979年。ドイツ・フランス。監督:フォルカー・シュレンドルフ。出演:ダビット・ベネント(オスカル役)、アンゲラ・ビンクラー(母親役)ら。
 ドイツの作家ギュンター・グラスの1959年の同名長編小説を映画化したもの。
 ドイツの人びとよりもジャガイモをたくさん食べる国ポーランドのダイツィヒを舞台とした話なので、映画はジャガイモ畑での主役オスカル少年の祖母の妊娠から始まります。オスカルは醜悪奇怪な大人の世界を拒絶して3歳で成長を止めてしまう。オスカルはポーランドそのものをイメージしてるが奇声を発して太鼓を叩き続けたり、叫び声でガラスを割ることができる。母は2人目の子を妊娠すると精神のバランスを崩して急逝する。
逃げ場を失った放火魔の少年が、焚き火でジャガイモを焼いているおばあさんの大きな釣り鐘型のスカート(解説によると4枚重ねの)の中に逃げ込むシーンもある。
 彼の目を通して、ドイツに蹂躙されたダンツィヒ自由市の小市民の受けた狂気の時代を描く。蛇足になるが、母親やサーカスの小人たちにまつわるエピソードがすごく面白い。
 その年のカンヌ映画祭のバルム・ドール賞、アカデミー賞外国映画部門を獲得してます。


57.『Uボート』  Das Boot、英題:The Boat
 1981年、西ドイツ。監督:ウォルフガング・ペーターゼン。出演:ユンゲン・ブロフノフ(艦長)、ヘルベルト・グレーネマイヤー(ヴェルナー少尉)、クラウス・ヴェンネマン(機関長)。原作:ロータル=ギュンター・ブーフハイム。 第二次世界大戦中の1941年秋大西洋を席巻したドイツの潜水艦"Uボート"の艦内を舞台にして、極限状況の中での潜水艦乗組員の心理と戦争の空しさをクールに捉えた優れた戦争ドラマ。
 当初はテレビシリーズとして製作が開始され、これを編集したものが1981年にドイツで映画として公開、それから4年後の1985年2月からテレビ版が放映された。
 ドイツの占領下にあったフランスのラ・ロシェル港から、若者ばかりを乗せたUボートが出航する。彼らに与えられた任務は、大西洋を航行する連合軍の輸送船の撃沈であった。
 本作の「艦長」のモデルとされるヴィレンブロック大尉が初代U96の艦長を務めた人。艦長は歴戦のベテランであるが故に、前線の状況も知らずに大言壮語する上層部には冷ややかで、出撃に浮かれる若い乗組員には憂いの目を向ける。思いがけず発見した敵船団への攻撃と戦果があったものの連合軍は対潜水艦戦術を向上させつつあり、しだいに戦局がドイツに不利に傾く中で、敵駆逐艦のソナー音と爆雷の恐怖に追い詰められながらも必死に闘う乗組員を描く。 そしてクリスマスには帰港できると思ったのもつかの間、イギリス軍の地中海要衝であるジブラルタル海峡を突破してイタリアに向え、という非情な指令がくる。
 ジブラルタル海峡はイギリス軍の要衝。イタリーをめざす航海が長くなってくると、いつ"最後の晩餐"となるか判らないのに、缶詰、乾パンなどの保存食が増えてきます。大量に積まれているのは壊血病対策のオレンジとレモン。狭い艦内は汚れが目立ち、シラミが増え、乗組員の髭はのび、ジャガイモにもカビが生えてくる。そこで士官までがナイフでカビ取りをするシーンに出会うことになります。劇中では自国のプロパガンダ放送に嫌気をさした艦長が、敢えて敵国イギリスの愛唱歌「ティペラリー・ソング」のレコードをかけさせるおまけもあります。

58.『スーパーサイズミー』 Super Size Me
 2004年。アメリカ。監督:モーガン・スパーロック。
 日本人はスナック菓子の中ではポテトチップが好きだが、アメリカ人はフレンチフライ又はフライ呼ぶドポテトが大好きである。水煮ジャガイモのカロリー(73kcal)は御飯(168)の約半分だが、油で揚げるフライドポテトは高カロリー(388)であるため、御存知の一般市民の体型となる。
 肥満症に悩む女性2人がその原因をファーストフード店のハンバーガーにあると訴えた報道を見たモーガン・スパーロック監督。監督自ら被験者となって、本当にそうなるか、1日3食1ヶ月間マクドナルド(ファストフード)だけを食べる人体実験をしたドキュメント映画である。
 スパーロックは当時33歳、身長188cm、体重84kg、体脂肪率11%、体格指数23.7(正常値はアメリカでは19〜25である)と、健康体であった。これが、30日後、体重は11kg増え、体脂肪率は18%になり、体格指数も27(アメリカ基準では「標準以上」)となった。疲労感があり、躁うつ、性欲減退、かなり深刻な肝臓の炎症を起こしたと言う。しかし、カロリーの取りすぎ、運動不足、性欲の判断には個人的面があり、肝臓への因果関係が不明なことが指摘されている。モーガン・スパーロックにとって初監督作品であり、ファストフード業界の社会的な影響を調査し、この業界が利益のために栄養を犠牲にしていることを明らかにした。マックに子供づれで入ることが多く、高脂肪なものを摂取する習慣が身についてしまうことも良くなく、学校ではファストフードや甘味飲料を出さなくすべきだと言う。マックの最初のフレンチフライは今のSサイズだけだった。どんどん重くなり、300gほどのSuper Size売られている。彼はこのサイズを販売すべきではない、とも主張していた。

 話は変わるが、自家製のフライドポテトとマックのフライドポテトを放置して比較したところ、マックのものは長い間腐さらず、カビも生えない、という人がおり、気になるところである。アメリカの原料となる品種は主に休眠の長い「ラセット・バーバンク」(写真)であるが、製造後期には芽が伸びてくる。これを防ぐため、わが国ではその使用を認めていないクロロプロファムことC-IPCを塊茎に散布しており、さらに揚げる時に油やマーガリンで知られるトランス脂肪酸を含むからではないかとも推定されている。これらは体によいとは考えられないが、保存性との関連性は定かではない。また、この訴訟は、「因果関係が認められない」として裁判所に却下され、マクドナルド側の勝利に終わるものの、スパーロックはタバコ会社に対するのと同様の非難が、ファストフード業界にも当てはまるのではないかと指摘した。

 【付記】本映画とは、別の話であるが、オーストラリアのアンドリュー・フリンダース・テイラーは1年間ジャガイモだけを食べるダイエット方法に挑戦した。フライドポテトの量は減らしたものと思われ、食事に風味を加えるために若干の風味とビタミンB12をサプリメントに使ったがみごと成功を納め、一年に経ってからもリバウンドなしだったという(2019年)。
【追記】欧州の使用禁止に続き、2020年、AHDB(英国農業園芸開発委員会)も、ジャガイモ生産者と卸売業者に発芽防止剤のクロロプロファムを使わないよう警告した。 

59.『「私たち結婚しました』 
2013年。韓国映画。国外版の監督はユ・ホチョル。企画:ヨ・ウニョク 。
韓国超人気バラエティ番組。主に韓国の有名なアイドルや俳優などが仮想結婚 し、その新婚生活?の体験模様、例えばウェディング写真撮影、両親への挨 拶、ショッピング、料理、洗濯、掃除など家事、引っ越し祝い、新婚旅行な ど...、実際にカップルになって生活をしながら、育てる愛の形を放映。  時には夫婦喧嘩での葛藤や涙、ドラマでは見られないスター達の素顔が見え る仮想結婚リアルバラエティ
この中で日本の女優藤井美菜がFTISLAND所属のホンギにジャガイモ料理をつく ってあげるのもありました。それには『鶏のボク(ウ)ムタン(甘辛炒め)』 でという骨付き鶏肉やジャガイモが入っている赤い煮込み料理がでます。そし てイ・ホンギと優藤井美菜が歌うデュエット曲「私たち二人」も聞くことがで きます。ホンギと藤井美菜は中華圏での表記が彩虹夫妻なので英語圏ではレイ ンボーカップルと言われています

60.『地下鉄のザジ』 
1960年。フランス。監督:ルイ・マル。出演:ザジ:カトリーヌ・ドモンジョ(声:渕崎ゆり子)。
フランスの詩人・小説家であるレーモン・クノーによる1959年発表の小説のコメディ映画化。
地下鉄に乗るのを楽しみに地方から出てきた10歳の少女ザジが、2日間パリに住む親戚のガブリエルおじさんに預けられる。ママは恋人とデートに行ってしまいます。
ザジはおじさんの元を抜け出し、地下鉄のストライキで混乱するパリの町をタクシーで移動して、蚤の市でジーンズを買ってもらい、エッフェル塔にものぼって、パリでやりたいことは全部やってのけてしまいます。そしてレストランで期待の山盛りの揚げジャガイモPommes de terre fritesとムール貝を大人顔負けにペロッとたいらげるシーンがあっていい。 伊藤麻衣子さんによりますとこのムール貝の白ワイン蒸しの料理、ムール・エ・フリットはベルギー料理ですが、パリのブラッスリーでは定番の料理なのだそうです。
続いて貝の殻を次々に皿に投げてお行儀が悪い。1960年の映画だが、サジが「私って早熟なの」とか「叔父さんはホモだもの。ホモってなに?」と聞くシーンもあり、当時すでに子供が恋愛の国フランスを象徴している。

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